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生まれてから19年間過ごした東京ですが、どうも都会の生活は苦手で落ち着かないものでした。そして、その東京よりも長くなった沖縄での生活が続いています。
しかし、長いからといって、その土地の人になることは出来ません。こうしてみると、本当に自分自身の落ち着ける居場所は何処にもないような、そんな気もしてきます。
でも、これからも沖縄に住み、あちらの島やこちらの島を転々としながら、野生動物たちの撮影を続けていくことに変わりはないでしょう。
その仕事にしても決して要領のよいものでなく、いつもどこかワンテンポずれたことばかりのように感じます。
ゆったりと流れていく時の中に浮かぶ、南の島での毎日を少しずつ紹介できればと思います。
しかし元来が怠け者で、夏休みの絵日記もまともに付けたことのない性格、どれくらいのペースで更新できるかは、当の本人にも全くわかりません。
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写真展「亜熱帯やんばる〜多様性の森」終了しました。
ありがとうございました。
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※各種お問い合わせは、こちらまでお願いします。 |
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ノグチゲラの♀親と雛
NikonD1X VR Nikkor80-400/4.5-5.6
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2002.5.29
10数年ぶりに、ノグチゲラの子育てシーンを撮影しました。数日をかけて徐々に撮影地点を巣に接近させましたが、最終的にも10m以上の距離がありました。この撮影距離ですと、無理してスチル写真で狙うよりもビデオ撮影向きだと判断し、4日間で60分テープを6本程回しました。 26日に初めて巣を見たときから、雛は既にかなり成長した段階で、爪を巣口に掛け、いつ巣立っても不思議ではない状況でした。しかし、親鳥に餌を貰った直後は、巣からもう半分以上も身を乗り出しながら、また巣内に戻ってしまうということを繰り返し、結局巣立ったのは29日の朝でした。 散々焦らされた割には、充分に成長しきった雛の巣立ちは、実に呆気無いものでした。親から十二分に栄養を与えられたためか、飛翔筋はかなり発達してたとみえて、巣口から一気に飛び出すと、一瞬近くの枝にとまりましたが、その後すぐさま遠くに飛び去ってしまいました。まだ充分に成長していない雛の場合は、恐る恐る巣の外に出てからも、営巣木の幹にしがみつき、なかなかその場所から離れようとせず、巣立ちらしいシーンを撮影出来るチャンスが多いのですが… 10数年ぶりに4日間費やして見た巣立ちにしては、何とも味気ない幕切れでした。しかし、年々悪化する森の環境の中で無事に巣立ちを迎えられたことは、やはり嬉しい出来事でした。
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2002.5.19
今回の撮影の目的はこのセマルハコガメでした。国内では、石垣島と西表島だけに生息しています。現在はバタグールガメ科という扱いですが、かつてはヌマガメ科に分類されていました。ところが、沖縄本島などに生息するリュウキュウヤマガメと同様に、ほとんど陸上生活に適応して、水の中に入ることはほとんどありません。繁殖に関しても、特に水場を必要とせずに、却って雨が降ると産卵行動が抑制されるほどです。 今回の1週間に及ぶ撮影の中で、毎日のようにセマルハコガメの野生の姿を目の当たりしてきました。それから受けた印象は、リュウキュウヤマガメよりもやや水に対する依存度というか、嗜好度が強いかな?というものです。雨が少なく、森が乾燥していると、なかなか姿を現さずに、森の中を探し回ってもほとんど見つけられません。ところが、ひとたびまとまった雨が降り始めると、そこら中から姿を現します。一体、何処に潜んでいたのか、不思議なほどの光景です。 ときには、オタマジャクシなどの餌を求めて水の中に入ることもあり、かなり器用に泳ぎ回る姿も初めて見ることが出来ました。これまでは、ゴミ捨て場や人家近くの畑や道路で見かけるセマルハコガメがほとんどでしたが、自然の森の中で暮す完全に野生の姿は、これまで以上に魅力的な動物に映りました。
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水場のセマルハコガメ
Nikon D1X Sigma16/2.8 Fisheye
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ノコギリガザミ
NikonD1X Sigma20/1.8
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2002.5.17
今回の西表島での宿泊は、この島で最も古い宿「竹盛旅館」さんです。24年前に初めて西表島を訪れたときもご厄介になったのを覚えています。その当時、木造で一階の屋根は茅葺きでしたが、それから何度か改装され、今ではとても近代的で快適な宿に変わっています。 いつも暖かく迎えてくださる竹盛ご夫妻経営の宿での、もうひとつの楽しみは美味しい食事、とりわけこのノコギリガザミです。24年前に何の予備知識もなしに初めて出会った、南国の大型で美味なカニには驚きました。大きな美味しいカニというと、どうも北国のイメージが強かったものですから。このようなカニがマングローブ林の泥の中に潜んでいるのは、なんとも不思議な気がします。 しかし、西表島も24年前とは比較にならないほど観光客が増え、それに伴い自然環境は悪化しています。その影響の一端がこのノコギリガザミにも及んでいるようで、食べることの出来る機会も激減しています。竹盛旅館さんでも、かつては3日に1回、ひとりに1匹の割合で楽しめたのですが、最近ではなかなかそうはいかないようです。 どんなにハードで長期の撮影であっても、食事が美味しくて、その間にどうしても体重が必ず増えてしまう、困った宿というものがあります。この竹盛旅館さんも、その困った宿のひとつなのです。
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2002.5.17
梅雨入りしてからも少雨傾向の続いている沖縄地方です。確かに西表島でも、森の中も乾燥していて、いつもは嫌と言う程寄って来る蚊も少ないほどです。 ところが、今日は早朝から土砂降りとなりました。その中を撮影に出たのですが、視界の悪い中、海岸線の道路を島の反対側まで走ってみました。ほとんど撮影にはなりませんでしたが、昼頃からやっと小降りになりました。被写体を探しながら、再び海岸沿いの道路をゆっくりと戻ってくる途中に、山並に浮かぶ白い小さな塊が目に入りました。 水量の少ない時には、ほとんど見えなくなるユツン三段の滝です。ユツン川の河口から見える内陸の絶壁を注意深く見ると、辛うじて滝らしいものが見えます。しかし、名前どおりの「三段の滝」に見えることはそれ程多くありません。大雨直後のこの日は、確かに三段に分かれて落水している様子が、超望遠レンズで引き寄せられたファインダ内の画像で、はっきりと見て取れました。 ここ数年、度々西表島を訪れて、島の中央部やあまり簡単に入れない地点での撮影をしてきました。このユツンの滝も間近まで接近するには、かなりハードなコースを攻めないとならないそうです。まだ果たしていないこの難コースも、近いうちに是非挑戦してみたいものです。亜熱帯の森の中から間近に眺めるユツンの滝は、かなりの迫力に違いありません。
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ユツン三段の滝
NikonD1X VR Nikkor 80-400/4.5-5.6ED
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獲物を待ち伏せるヘリジロツケオグモ
NikonD1X Sigma105/2.8 Macro Speedlight
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2002.5.16
「掲示板」でも触れている6月6日に創刊される『週刊・日本の天然記念物』からの撮影依頼で、西表島で撮影をしています。その撮影の合間に見つけたのが、このヘリジロツケオグモです。 残念ながら、クモには天然記念物指定の種はいません。この理由のひとつに、天然記念物指定の重要なポイントに生息範囲が狭く、ごく一部に限られていることがあります。ところが、クモはごく限られた地域だけに分布する固有種というものがいません。それは、子グモのときに空に向かって糸を出し、風に流された糸に乗って、遠くまで移動するのです。翼のないクモが空を飛ぶこの奇妙な行動は、バルーニングと呼ばれています。 それでも、クモの中にも生息数が少なくて、なかなかお目にかかれない種はいます。クモの研究者の間で「日本の7大珍品グモ」と呼ばれている中に、カトウツケオグモという種がいます。脚を縮めていると、鳥の糞のように見えるクモです。これに極めて近縁の種が、このヘリジロツケオグモです。前種に比べて、腹部の脇が白いのと、脚が黄色い程度の違いしかありません。 隠蔽擬態の中で、鳥の糞に似るという戦略は実に巧妙な手段です。昆虫やクモの最大の天敵の鳥が空腹で餌を探しているときに、まさか自分達の糞に注意を払うことはない訳ですから。さらに、このカトウツケオグモやヘリジロツケオグモは、鳥の糞の臭いまで発して、自分達の餌になる昆虫を誘因するという説もあります。その臭いの分泌腺は腹部にあると言われていましたが、この写真を撮ったとき、クモは触肢(昆虫の触角に相当する)で、自分の口器のすぐ近くの葉の表面を盛んに撫でていました。すると、頻繁にアリが訪れてそこを舐めるのです。どうも、この行動が臭いによる餌動物の誘因に関係しているような気がしてなりません。確かに、腹部に餌が誘因されるよりも、頭部の目の前に誘因されたほうが、高い確率で捕獲が可能になるでしょうから。
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2002.5.10
沖縄・奄美地方の梅雨入り宣言がありました。ほぼ平年なみの入梅ですが、今日の天気は積乱雲が多いものの、時折初夏のような太陽が顔出すといった、あまり梅雨らしくない初日となりました。県内のダムの平均貯水率が50パーセント近くまで下がっているので、空梅雨だけにはなってほしくないものです。 このような天気の中、先日購入したブレ防止機構内蔵レンズのテストを兼ねて撮影をしてきました。トンボの姿を求めて、沖縄市の公園の水辺を歩いてみたのですが、トンボには全く出会うことが出来ませんでした。代わりに待っていてくれたのが、このアオスジアゲハ。炎天下のぬかるみで長時間吸水行動をし、ときおり尾端から余分な水分を排出するポンピング行動も見せてくれました。このような光景を見ていると、すっかり夏の気分がしてきます。 この写真は、レンズを400mm(D1Xボディで600mm相当)にセットしてほぼ最短撮影距離での手持ち撮影です。ぬかるみなので三脚は使いにくい状況でした。ストロボも併用していますが、600mm超望遠レンズでの接写が手持ちで出来てしまうところが、さすがにブレ防止機能の威力だと、改めて感心してしまいました。
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吸水するアオスジアゲハ
NikonD1X VR Nikkor80-400/4-5.6ED Speedlight
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