生まれてから19年間過ごした東京ですが、どうも都会の生活は苦手で落ち着かないものでした。そして、その東京よりも長くなった沖縄での生活が続いています。 しかし、長いからといって、その土地の人になることは出来ません。こうしてみると、本当に自分自身の落ち着ける居場所は何処にもないような、そんな気もしてきます。 でも、これからも沖縄に住み、あちらの島やこちらの島を転々としながら、野生動物たちの撮影を続けていくことに変わりはないでしょう。 その仕事にしても決して要領のよいものでなく、いつもどこかワンテンポずれたことばかりのように感じます。 ゆったりと流れていく時の中に浮かぶ、南の島での毎日を少しずつ紹介できればと思います。 しかし元来が怠け者で、夏休みの絵日記もまともに付けたことのない性格、どれくらいのペースで更新できるかは、当の本人にも全くわかりません。
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写真展「亜熱帯やんばる〜多様性の森」終了しました。 ありがとうございました。
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インドキワタの実
インドキワタの実
Ricoh Caplio GX
  2004.5.31
4月1日3日にここで紹介したインドキワタの花が実を結び、風に舞っています。初めは、まるで真空圧縮したような黄色味を帯びた状態ですが、やがてほぐれて、中央の黒い種子の周りに白い羽毛を広げた状態になって飛んでいきます。
 ちょうどこの綿が飛び散るのは、沖縄だと梅雨の真只中に当ります。折角の綿毛が雨に濡れてしまっては無惨ですし、なるべく遠くまで飛散して分布を拡げようという目的も叶いません。原産国では、種子が飛散するのはどのような気候の季節に当るのでしょうか?
 しかし、ここ数日の沖縄はそのような心配は無用の好天です。長期的な水不足に見舞われている沖縄ですは、ダムの貯水率が辛うじて50%を上回っている状況です。このままで、梅雨末期の大雨も期待出来ないとしたら、今夏は久しぶりの給水制限を覚悟しないといけないかもしれません。
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2004.5.30
ゲットウの葉の表面に、幾筋もの褐色の帯が走っています。風で擦れて出来た痕かと思ったら、その中央にヨツメオサゾウムシがいました。これが犯人のようです。翅(はね)の四隅に黒い斑紋があり、これが和名の由来「四つ目」です。紅色系と黒色の体色は、緑の葉の上にいると補色関係のために、かなり目立つのですが、この褐色の帯の間にいると、そうでもありません。葉の表面を摂食するのは、栄養摂取のためだけではなく、カムフラージュの効果も狙っているのでしょうか?
 今日も新型デジカメによる撮影ですが、ひとつ嬉しい発見がありました。撮影した画像をパソコンへ取込み作業をする際、そのソフトが貧弱だと一昨日書きました。特にMacintoshでは、自動画像取込みは出来ても、その後、その画像を閲覧するソフトが対応していないのです。ピントや露出、構図などを確認し、取捨選択する作業は、一コマ一コマ画像ソフトで開いて確認しなければなりませんでした。
 ところが、試しに、これまで使用していたNikonの画像閲覧ソフトで開いてみたところ、全く同じように使えることが判りました。これで、かなり撮影後の作業が楽になりました。でも、出来れば、メーカー純正のソフトで対応して欲しいものです。
  ヨツメオサゾウムシ
ヨツメオサゾウムシ
Ricoh Caplio GX
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羽化直後のスキバドクガの雄
羽化直後のスキバドクガの雄
Ricoh Caplio GX
  2004.5.29
ここでも何度か触れましたが、今年はいろいろな昆虫が、久しぶりの大発生のようです。身近な昆虫では、ドクガの仲間が、かなり多く見られます。例えば、タイワンキドクガ、数種のマイマイガ、そしてこのスキバドクガなどです。
 スキバドクガは、雌雄でかなり姿が異なります。雌は、クリーム色の幅広の翅(はね)をしていますが、雄は細長い透明の翅です。この雄の翅が和名の由来の「透羽」を表しています。
 雄は日中活動しますから、恐らくハチに擬態しているのでしょう。これは、よく知られているオオスカシバと同様です。そして、オオスカシバは透明な翅に羽化直後だけは鱗粉が付着しているのですが、これもスキバドクガと共通しています。この羽化直後だけの鱗粉は、活動を始めると、すぐに落ちてしまい、透明な翅になります。
 今日も新しく使い始めたコンパクトデジカメでの撮影です。次第に慣れて来ましたが、やはり小さな液晶モニターでの厳密なピント合わせには苦労します。亜熱帯の炎天下で遮光フードなしでは、かなり画像確認が辛いのと、あとは、やはり、撮影者の眼の衰えが原因でしょうか・・・
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2004.5.28
新しいデジカメを衝動買いしてしまいました。と言っても、コンパクトタイプなのですが・・・これがなかなか侮れない機能満載の機種なのです。
 まず、スイッチを入れてから撮影出来るまでの時間が1.2秒、シャッターボタンを押してから切れるまでのタイムラグが0.12秒、広角28mm相当からの3倍ズームレンズは、レンズ先端から1cmの接写が可能などです。
 これらの機能は、これまでコンパクトタイプ(一眼レフでない)のデジカメで昆虫を接写しようとするときの欠点をかなり補ったものと言えます。さらに接写時は、焦点を合わす指標が画面内で自由に移動可能なのです。望遠側ではレンズ先端15cmまでストロボ使用可能で、しかも自然な感じのライティングになります。
 これらの数々の機能に期待を膨らませて、テスト撮影をしてみました。さすが、これまでのコンパクトデジカメでの昆虫接写のときのイライラは、かなり解消されています。まず、接写でも比較的スムースにピントが合い、シャッターがすぐに切れるのもストレスを軽減してくれます。
 しかし、やはり一眼レフと比べると、厳密なピント合わせは無理と言うものです。シャッターボタンが深いため、それに因るブレも心配です。欲を言えば、望遠側が 85mmではなく105mmまであればなぁと思います。あとパソコンへの取り込みソフトのMacintoshへの対応状況が寂しい状況です。尤も、 205gの軽量コンパクトボディ、実売4万円台の機種にこれ以上の贅沢を言っては、罰が当りますね?
  ニンジンの実から吸汁するアカスジカメムシ
ニンジンの実から吸汁するアカスジカメムシ
Ricoh Caplio GX
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ヘリグロツユムシ幼虫
ヘリグロツユムシ幼虫
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight
  2004.5.26
山原(やんばる=沖縄本島北部)の下草で最もよく目にするキリギリスの仲間と言えば、このヘリグロツユムシでしょう。まだまだ寒い早春から、本当に小さな幼虫が目に付き始めます。やがて、全身をベルベットに覆われたような質感に成長していきます。この頃は、胴体に比べて複眼が大きく、結構愛嬌のあるキャラクターに映ります。
 実は、必ずと言ってよい程、周囲にはまとまった数の幼虫がいるのですが、全身保護色の効果で意外と気付きません。ところが、1匹見つけると、次から次へと見つかるのが不思議です。
 その幼虫たちも、そろそろ成虫になる季節が近付づき、翅や産卵管などが見えるようになって来ました。成虫になっても、かなりの数がまとまっているのが見られます。しかし、これは成虫のサイズが大きいので、ある程度の数でボリュームを感じることもあり、実際の数は幼虫のときに比べると、かなり減っているのでしょう。あの愛嬌のある小さな幼虫たちが、どのようなアクシデントに遭遇し姿を消していったのでしょうか?
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2004.5.25
5月2日の「南島漂流記」でも紹介しましたが、今年は何年ぶりかの発生の年のようです。このところ、夜の電灯の回りを探すと、このヒラヤマメナガゾウムシの姿を見かけることが多くなりました。大発生となるか否かは、しばらく様子を見ないと分りません。
 ところで、5月2日にも触れていますが、このゾウムシは羽化直後はとても奇麗なピンク色をしているのですが、これは体の表面に付いている粉による色彩・模様なので、次第に擦れて脱落してしまいます。すると、地色の黒色が目立つようになってきます。この写真のゾウムシは、背面側がかなり黒っぽくなっていますが、まだ他の部分にはピンク色が残っています。
 しかし、さらに時間が経過すると、ほとんど全身が黒い姿になってしまいます。これが、図鑑検索泣かせなんですね・・・
  ヒラヤマメナガゾウムシ
ヒラヤマメナガゾウムシ
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight
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ウラジロ?群落
ウラジロ?群落
NikonD1X Sigma18-50/3.5-5.6 PL-Filter
  2004.5.23
梅雨に打たれた森の緑が目に染みる季節です。3月の新緑の森のグラデーションも、何とも言えない眼の喜びを感じさせてくれますが、今のしっとりした森の中では、シダの仲間とコケの仲間が心地よい存在です。
 元々、私の視覚は細かい輪郭構造が無数に集合した物体に惹かれる傾向があるようなのです。それがシダであり、コケであることが多いようです。
 しかし、この嗜好で失敗したこともあります。室内撮影のバックに、タイワンモミジという、やはりギザギザの輪郭の細かい葉の鉢植えを使ったことがあります。もちろん、心地よい背景のボケを期待したのですが、これが逆の結果なのです。煩雑な不協和音とでも表現しましょうか、余程ボケ味の奇麗なレンズでない限りバックには向いてないようです。
 ところで、この写真はあるダム湖の斜面で、いつも今頃の季節、美しい葉だけに覆われた空間に見とれてしまいます。何と言う種類のシダでしょうか?斜めから見ると分り難いですが、正面から見ると、どれも左右一対の葉から構成されていますので、ウラジロの可能性が高そうです。沖縄では正月のお飾りに使う習慣もないので、ちょっと意外な存在に感じられました。
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2004.5.22
ウスイロコノマチョウの翅(はね)の模様には「秋型」と「夏型」の2種類があります。夏型はこの写真のように翅の色が薄く、偽の目玉模様が目立ちます。一方の秋型は、翅の色が濃く、目玉模様は余り目立ちません。恐らくは、秋型は落葉の多い季節の林床で静止していると目立ち難いのでしょう。この夏型は、頻繁に樹液に吸汁に訪れる季節、偽の目玉模様の恩恵で、捕食者からの致命傷を回避しているのでしょう。
 今日は、1日でウスイロコノマチョウの夏型と秋型の両方を目撃しました。恐らく、ちょうど衣替えのときなのでしょう。人間社会の衣替えは、沖縄では1カ月ずつずれていて、5月と11月です。沖縄に生息するウスイロコノマチョウの夏服への衣替えは、ほぼ人間社会と同じタイミングのようです。
  ウスイロコノマチョウ夏型
ウスイロコノマチョウ夏型
NikonD1X Sigma105/2.8Macro X1.4Telecon Speedlight
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ルリモンホソバ
ルリモンホソバ
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight
  2004.5.21
16日にミツギリゾウムシを紹介した晩に、ルリモンホソバも撮影したことに触れましたました。しかし、その結果はイマイチだったので、ここには登場させませんでした。構図もさることながら、和名の一部でもあるルリ色が、全く出ていなかったのです。このような金属光沢を伴う色ではよくあることですが、ストロボを使うとほとんど黒っぽい色になってしまうのです。
 運良く今晩もルリモンホソバに出会えたので、今回はバックからももう1灯ストロボを焚いたり、ライトボックスというやや大振りのアクセサリーを組み立てて柔らかい光線で撮影を試みた結果、何とかルリ色を再現することが出来ました。
 ルリモンホソバは、年に一度遭遇出来るか否か程の結構珍しい種類です。それが、今週は2度も目にする幸運に恵まれました。しかし、考えてみると、今年はここ数年お目にかかってなかった昆虫に出会えたり、本来数の少ない種類がさくさん発生していたりという例が多いように思います。理由はなんでしょうか?ひとつだけ思い当るのが、今年の冬は何年ぶりかの冷え込みが訪れたことです。やはり亜熱帯の昆虫とはいえ、冬は暖かいだけでなく寒さというメリハリが必要なのかもしれません。
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2004.5.19
沖縄は、台風2号の影響もあって雨が降ったりやんだりの天気です。梅雨入りしてほぼ2週間ですが、まだまとまった降水量に恵まれていません。結局、いつも水不足解消は台風頼みになってしまうのが実状です。それでなくても沖縄では、台風の襲来による会社や学校の休みを楽しみにする傾向がありますから、台風もプレッシャーを感じてるかもしれません。「風は控え目に、雨はたっぷり」と。しかし、今回の台風はプレッシャーに負けそうな予感ですね・・・
 梅雨の季節を代表する花というと、5日に紹介したゲットウの他、イジュ、ノボタン、アオノクマタケランなどがありますが、このコンロンカも個人的な好みではかなり上位に入る植物です。遠くからは白い蕚(がく)が目立ちますが、近くに寄って観ると、星形をした黄色の花が印象的です。黄金の星と言ったほうが夢があるでしょうか?さらに「コンロンカ」という和名も何処か魅力を感じます。この一見地味な花が雨に濡れる姿は、梅雨も味わいのある季節のひとつだと感じさせてくれます。
  コンロンカの花
コンロンカの花
NikonD1X Sigma18-50/3.5-5.6
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捕食するキベリヒゲナガサシガメ
捕食するキベリヒゲナガサシガメ
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight
  2004.5.18
いつもちょっと気になっていたサシガメの仲間です。赤と黒の体色は鮮やかで、緑の葉の上にいるとより目を引きます。なかなかスマートな姿は、魅力的な被写体です。しかし、どうもこれまでにこれといったカットが撮影出来たためしがありません。相性が悪いのでしょうか?魅力的な被写体なのに思うような結果が得られない、そしてまた出会うと、「今回こそは!」と冷静さを欠いて、よい結果に結び付かないのでしょう。全くの悪循環です。
 さらに不思議なのは、サシガメなのにこれまで捕食シーンに出会ったことがないのです。沖縄本島に生息するサシガメの中では最も数が多いのに、何故なのでしょう。
 それが今日初めて捕食の現場に遭遇することが出来ました。但し、それはダムのトイレのドアの上でのことです。獲物は小さな蚊ですから、これが下草の上であったら、果たして気付いたでしょうか?それにしても、初めての捕食シーンがこのような状況とは・・・次は是非、緑の葉の上で出会いたいものです。
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2004.5.17
山原(やんばる=沖縄本島北部)の森は梅雨の真只中ですが、その中で野鳥たちは、子育に忙しい季節です。ノグチゲラの子育を撮影しようと思い、夜明けとともに営巣木に行ってみたのですが、ウィークデイにもかかわらず、既に先客がいました。別の被写体を求めて、早朝の林道を走っていると、前方の茂みの脇にヤンバルクイナの姿が見えます。
 そっと車を停め、離れた場所から様子を伺っていると、その茂みから雛も姿を現し、林道沿いを行ったり来たりしています。番いと雛4羽の一家が頻繁に林道の両脇の茂みを往復しています。これまでにも、この季節に度々、山原を訪れているのに、このような光景に出会ったのは初めてです。余程、運がよかったのだと思っていたら、その後立続けに2度も同じような光景に出会いました。
 最後に出会った家族は、雛が最も若く、嘴も脚もまだ赤くありません。運良く親鳥と連れ立って歩く光景を収めることが出来ました。正に「早起きは三文の徳」の通りの出来事でしたが、次回はもっと早起きをして、土の上を歩く親子3、4羽の姿を欲張ってみたいと思います。
  ヤンバルクイナの親子
ヤンバルクイナの親子
SONY DSR-570WS Canon YJ19X9B IRS(×2エクステンダー使用)
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ミツギリゾウムシ
ミツギリゾウムシ
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight
  2004.5.16
1週間ぶりの夜の山原(やんばる=沖縄本島北部)です。月は暗く、蒸し暑いので、いかにも電灯に昆虫の集まりそうな条件です。しかし、やや風が強いのが不利な要素でしょうか?
 実際に、電灯の回りを探してみると、集まっている昆虫の数自体は少ないのですが、なかなか珍しい昆虫たちが待っていてくれました。蛾のルリモンホソバと、クロヘリオオヒゲナガゾウムシの雄、そしてこのミツギリゾウムシ、どれも久しぶりに会った顔ばかりです。ルリモンホソバはじっと葉裏にとまってくれているのですが、どのアングルから撮っても、どうも絵になりません。クロヘリオオヒゲナガゾウムシは、ビデオを撮影しているときに飛び去ってしまいました。
 結局、ここに登場したのはミツギリゾウムシというわけです。口吻が穴開け用の三錐に似ていることによる命名ですが、何処かとぼけた風貌がユーモラスです。国内での分布は沖縄本島が南端ですが、決して数の多い昆虫ではありません。本州まで生息しているようですが、本州での生息数はどのようなものなのでしょうか。
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2004.5.15
今回の東京滞在も今日で終わり。沖縄に戻る前に、爽やかな好天に恵まれた実家の庭に出てみました。文字どおりの猫の額ほどの広さですが、私の昆虫写真のフィールドの原点でもあります。中学、高校の頃は、この庭で見つけた昆虫ばかりを撮影していました。
 その庭で一番目に付いたのが、このツマグロオオヨコバイ。昔からたくさんいましたが、相変わらずのようです。体長が10mm足らずと小さく、接写の練習台によくなってもらったものです。ちょっと懐かしくもあり、久しぶりにレンズを向けてみました。数十枚シャッターを押しましたが、あまり納得のいくカットはありません。昔のほうが巧かったかなぁ・・・
  ツマグロオオヨコバイ
ツマグロオオヨコバイ
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight
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海野和男さん(右端)写真展オープニングパーティ(田中博さん撮影)
海野和男さん(右端)写真展オープニングパーティ(田中博さん撮影)
NikonD1X Sigma18-50/3.5-5.6 Speedlight
  2004.5.13
今日は、海野和男デジタル写真展「小諸日記Part3」のオープニングにお邪魔しました。海野和男さんは、私の昆虫写真の師匠のお一人で、学生時代からいろいろなご指導を頂いています。私が憧れた写真家は何人かいらっしゃいますが、実際に写真家としてやっていく上で最も具体的なアドバイスをくださったのが海野さんなのです。
 昆虫写真を専業にしている写真家は意外に少なく、国内で恐らく一桁の人数でしょう。かつて、身内の葬儀の場で、葬儀屋さんに「特殊なご職業で」と言われた経験があるくらいですから・・・これは、その希少動物の昆虫写真家が会場に集まって撮った記念写真なのです。右端の海野さんの隣が、私と同年生の新開孝さん。そして私。さらに左端の森上信夫さんも昆虫写真を撮り続けているのですが、皆から焚き付けられてもなかなかフリーにならない人物です。
 海野さんの写真展は神田小川町のオリンパスギャラリーで今月26日まで開催されています。E-1というオリンパスのデジタル一眼レフで撮影された作品は、やや小型のCCDにもかかわらず、とってもシャープな映像で驚かされます。
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2004.5.12
今日から数日間、東京での生活です。いくつかの用事がありますが、その中の楽しみのひとつが、この「知られざるロバート・キャパの世界」展を観に行くことです。恵比須の東京都写真美術館で16日まで開催されていますので、ギリギリ間に合いました。
 このサイトの私の略歴でも触れていますが、私が最初に写真家に憧れたのは、このロバート・キャパの唯一の著書『ちょっとピンぼけ』が切っ掛けでした。その後も、キャパの魅力は薄れることなく、今でも出来るだけ写真展に足を運び、ちょっと無理して写真集を買ったりしています。
 今回はキャパ没後50年ということで企画された展示会ですが、全世界で多くの人がキャパに魅力を感じ続けていることに驚かされます。今回も新たに発見されたオリジナルプリントや新事実が公開され、世界的に根強いキャパ人気を確認することが出来ました。
 やや残念だったのが、どの作品が今回発見された未公開作なのかが解り難いなどの構成の仕方と、あと会期を9日間長く設定すれば、最終日がキャパの50回目の命日であったのに・・・ということでした。
  ロバート・キャパ展会場入口
ロバート・キャパ展会場入口
NikonD1X Sigma18-50/3.5-5.6
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交尾するリュウキュウトビナナフシ
交尾するリュウキュウトビナナフシ
NikonD1X Nikkor10.5/2.8Fisheye Speedlight
  2004.5.11
ナナフシの仲間はカムフラージュの身近な例のひとつでしょう。沖縄には数多くのナナフシが生息していますが、余り研究の進んでいないグループでもあります。数多いナナフシの中には、なかなか興味深いものもいます。前脚を伸すと全長30cm前後にもなるオキナワナナフシの雌、枯枝にそっくりなコブナナフシ、そしてこのリュウキュウトビナナフシなどです。
 リュウキュウトビナナフシは、多くが翅(はね)の退化したナナフシの中にあって、翅が残っているのが最大の特徴です。もっとも、かなり太めの雌は、この小さな翅では飛ぶのはちょっと無理な印象です。さらに、植物と同じ緑色の保護色の効果はあっても、それ以上の隠蔽効果はありそうに思えません。それに対して雄の隠蔽効果はかなりのものだと思います。胴体と前脚は明褐色で、中脚と後脚は緑色です。このために、前脚を伸して静止すると、中脚と後脚は植物の緑色に埋没して、一本の枝のように見えるのです。さらに、細身の雄は、実際に飛ぶことも可能です。
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2004.5.10
これまでに何度この光景に遭遇したことでしょうか?夜、林道を車で走っていると、地上に無数のえんじ色に光る物が見えるのです。「なんだろう?」と思って、車を停め、近付くと、その光る物体は一斉に舞い上がってしまうのです。しかし、その正体がオオルリオビクチバの眼であることと、彼らが地上に落ちているイヌビワの実から吸汁していただろうことだけは判りました。
 そして今夜は、さすがに何度か同じことを繰り返した学習の成果でしょう、予め慎重に近付き、その吸汁の姿を撮影することが出来ました。欲を言えば、この蛾の最大の特徴である後翅(はね)のルリ色の帯の色が出ていないことと、あの無数に輝く物体というイメージが再現出来ていないことが残念です。
  イヌビワの実から吸汁するオオルリオビクチバ
イヌビワの実から吸汁するオオルリオビクチバ
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight
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ハグルマヤママユ
ハグルマヤママユ
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight
  2004.5.9
昨夜から今朝にかけて、かなりの強風が吹き荒れ、夜の照明に飛来する昆虫の数もいまひとつでした。でも、そのような寂しい晩に、ひとつだけ華を添えてくれたのが、このハグルマヤママユです。
 あの世界最大の蛾とも言われるヨナグニサンと同じヤママユガ科です。もっとも、その大きさは両極端で、ハグルマヤママユは前翅(はね)の長さが約 45mmとヨナグニサンの3分の1程度しかありません。色彩は、ヨナグニサンの赤色系を基調にしたものに負けない、黄色系の鮮やかさです。
 沖縄で見られるヤママユガには、他にヤママユ、クスサン、シンジュサンなどがいますが、これらは大きさも色彩もどこか中途半端な印象があります。個人的には、ハグルマヤママユとヨナグニサンが、見る度にハッとする存在なのです。
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2004.5.8
アカギカメムシには、ちょっと思い入れがあります。10年以上前に数年掛かりで生活史のほとんどを撮影したことがあります。その撮影を通して、初めて判った生態がいくつかありました。
 沖縄本島では、基本的に5月と6月に連続して2回繁殖します。これは、幼虫の餌になるアカメガシワの実の時期にシンクロしているのです。その後、成虫が数万匹の大集団を造りますが、これは夏に最大規模となり、次第に規模が小さくなり、真冬に分散してしまいます。それまでは、越冬集団だと言われていたのですが、これは集合するアカメガシワの葉が夏は茂っていて集団が目立たず、冬は葉がまばらになるため、急に集団が目立つようになるためのようです。さらに、体色についてもそれまでとは異なった発見がありました。樹来、沖縄本島では黄色いカメムシが多く、八重山諸島では赤いカメムシが多いと言われていました。しかし、これは新鮮な虫は鮮やかな赤色をしているのが次第に色褪せて、オレンジ色、黄色、灰褐色と色が変化していくのです。沖縄本島よりもアカメガシワの実の着く季節の長い八重山諸島では繁殖回数が多く、新鮮な虫を見る機会が多かったのです。
 さて、この写真のアカギカメムシは赤い色をしていますが、新鮮な虫ではありません。昨年の今頃繁殖して、越冬したものなのです。当然、羽化から長い時間生きているので、体色は一旦灰褐色まで色褪せたのです。しかし、このアカメガシワの実から栄養を摂取すると、再び体色が鮮やかに若返るのです。余程、アカギカメムシにとっては栄養に富んだ実なのでしょう。
  吸汁するアカギカメムシ
吸汁するアカギカメムシ
NikonD1X Sigma105/2.8Macro X1.4Telecon Speedlight
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イルカンダの鞘
イルカンダの鞘
NikonD1X VR Nikkor80-400/4.5-5.6ED
  2004.5.8
ついこの前まで独特のの目立っていたイルカンダですが、急に豆の鞘が目立ってきました。まだ小さな鞘ですが、生長すると長さ50~60cmにもなります。さらに、蔓自体は樹高20m前後の林冠にも達する高木に絡んでいます。そのために「ジャックと豆の木」の豆の木に例えられることもあります。
 亜熱帯沖縄らしさを演出してくれる植物にはいくつかありますが、このイルカンダも、ヒカゲヘゴとクワズイモと並んだ役者だと思います。しかし、前記の2 種と違って季節限定なのが、ちょっと残念です。せめて何処でも目立つくらいにたくさん鞘を着けてくれればと思うのですが、ここ数年やや不作の印象でした。それが今年はかなりたくさんの鞘が見られます。久しぶりの豊作のようです。
 豊作の森でもうひとつの発見。まだ小さな豆の鞘は、まるでインゲンのような姿でした。太い蔓からぶら下がるインゲン、何処か不思議な光景でした。
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2004.5.7
夜の照明に集まる昆虫がかなり増えてきました。その中でも特に多いのが、蛾と甲虫の仲間でしょう。それも季節とともに少しずつ、やって来る種類が移り変っていくのが興味深いところです。
2週間前までは全く目にしなかったこの蛾は何という種類でしょうか?手許に図鑑がないので、シャクガの仲間である程度しか判りません。しかし、種名が判ったからといって、その昆虫のことすべてが判る訳でもありません。
 それにしても、電灯に飛来した昆虫というのは、標本のような存在です。本来の生息環境を反映せずに、人工的な所にとまっているのですから。それも虫自身の意志ではなく、悲しい性のために飛んで来てしまったのですから、「なんでこんなとこに来てしまったの・・・」と言ったところでしょう。
 その昆虫の模様や色彩から、本来の生息地などを想像するのも楽しみのひとつです。例えば、このシャクガの場合、全身の基調は緑色ですから、きっと葉の上や裏にとまるのが日常なのでしょう。すると、各翅(はね)の中央にある模様は、虫喰い穴にでも見えるのかもしれません。翅の後縁の縁取りはまるで刺繍のようですが、却ってこれは虫の存在を際立てせてしまって、対天敵戦略からすると不利かもしれませんねぇ。
  シャクガの一種
シャクガの一種
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight
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ゲットウの蕾
ゲットウの蕾
NikonD1X Nikkor70-300/4-5.6ED PL-Filter
  2004.5.5
沖縄地方の梅雨入り宣言がありました。例年よりも3日早いだけだそうですが、連休中の梅雨入りは随分早い印象です。これからしばらくの間、撮影にも影響が出ることでしょう。しかし、しっかり降ってもらって、水不足を解消してほしいものです。
 梅雨の季節を代表する花というと、イジュとゲットウが思い浮かびます。イジュは沖縄本島では北部に行かないと見られませんが、ゲットウはとても身近な植物です。沖縄では一般にサンニンと呼ばれ、よい香りの葉は餅や饅頭などを包むのに使われます。
 ゲットウは、まだ花期に入ったばかりで、沖縄本島中南部では、花よりも蕾のほうが目に付きます。個人的には、ゲットウの花よりも蕾のほうが好みです。花は赤と黄の原色の組み合わせでストレートなイメージですが、蕾はアイボリーと薄紅色の組み合わせで、梅雨のイメージにより相応しいように感じます。
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2004.5.4
ゴールデンウィークに山原(やんばる=沖縄本島北部)へ行くことは、まずしません。第一に道が混むのと、普段とは違う人々が山奥まで入って来て、キャンプをしていたりするので、とても落ち着いて撮影することが出来ないからです。そこで、いつもの散歩コース、琉球大学構内での被写体探しとなります。
 これがなかなか馬鹿に出来ない被写体に出会うのです。昨日、今日と続けて見られたのが、このヒメゴマフコヤガ。前翅(はね)の長さが1cm弱の小型の蛾で、決して珍しい種類ではありません。それでも、そう頻繁に会える相手でもなく、ときどき姿を見かけると、何となく嬉しくなってしまうのです。
 地味と言えば地味ですが、律儀に黒い水玉模様を等間隔に並べている真面目さが、何処か笑ってしまいたくなるのです。生物の体は、基本的にシンメトリーなのは解りますが、このように指標を打ってくれると、もう歴然です。しかし、同時に完全なシンメトリーはないとも言われますが、なるほど細部を観察するとわずかに異なっているのも解ります。
  ヒメゴマフコヤガ
ヒメゴマフコヤガ
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight
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オキナワイチモンジハムシ
オキナワイチモンジハムシ
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight
  2004.5.3
このところ、いろいろな種類の昆虫が次々と出現してきます。数日前から気付いていましたが、今日はこのオキナワイチモンジハムシが、急に数を増したような気がしました。
 数匹が並んで無心に摂食している姿は、なかなか微笑ましい光景に映ります。しかし、これからさらに数が増え、クワ科植物の新芽や若葉に黒々と光るように群れていたり、芋虫状の幼虫が同じように集団を作っていたり、その食痕や糞が目に付くようになると、もうそうは言ってられません。園芸害虫、不快昆虫と言われても仕方のない状況です。
 と言うことは、今が可愛い盛りというのはちょっと変な表現ですね、やはり・・・
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2004.5.2
何年ぶりに出会ったでしょうか?とても美しい色彩をしたゾウムシですが、いつもこの姿とは限りません。この色は、体表に粉が付いているだけなので、羽化後しばらくすると、擦れて取れてしまい黒っぽくなっていきます。このような現象はゾウムシではよくあることです。これまでに見たことのないゾウムシだと思い図鑑で検索するのですが、該当する種類がありません。しかし、よ~く観察してみると、色彩こそ違え形態はそっくりの種類が見つかるのです。
 つまり、このゾウムシは羽化直後ということのようです。すぐ近くに、幼虫が好むインドゴムノキがあったので、他にもいないか探してみたのですが、この1匹だけでした。
 そう度々見掛ける種類でもないのですが、何年かに一度、インドゴムノキやガジュマルなどで大発生することがあります。今年も、もしかするとそのような年なのかもしれません。これからしばらく、気を付けてみたいと思います。
  ヒラヤマメナガゾウムシ
ヒラヤマメナガゾウムシ
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight
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夜、枝で寝るオキナワキノボリトカゲ
夜、枝で寝るオキナワキノボリトカゲ
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight
  2004.5.1
気温の上昇とともに、爬虫類の活動が目に付くようになってきました。夜、電灯に集まる昆虫を探していたら、木の枝で休むオキナワキノボリトカゲを見つけました。
 これまでにも何度か見た光景ですが、いつもこのように前肢で枝を抱きかかえるようにして寝ています。まるで、抱き枕を抱えているかのようなポーズです。そして、腹部が呼吸にともなってゆっくりと動いています。撮影を始めると、気になるのか時々薄目を開けて、こちらの様子を伺います。それでも、眠気には勝てないのでしょう、また面倒臭そうに、眼を閉じて寝てしまいます。
 とても人間臭いオキナワキノボリトカゲの寝姿です。このように動物を擬人化して見てみると、愛着が湧いて苦手な動物克服にも役立ちます。しかし、野生動物にあまり「可愛い」「可哀想」という感情を込め過ぎると、本質を見失い勝ちなので、その加減が難しいところです。
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