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生まれてから19年間過ごした東京ですが、どうも都会の生活は苦手で落ち着かないものでした。そして、その東京よりも長くなった沖縄での生活が続いています。
しかし、長いからといって、その土地の人になることは出来ません。こうしてみると、本当に自分自身の落ち着ける居場所は何処にもないような、そんな気もしてきます。
でも、これからも沖縄に住み、あちらの島やこちらの島を転々としながら、野生動物たちの撮影を続けていくことに変わりはないでしょう。
その仕事にしても決して要領のよいものでなく、いつもどこかワンテンポずれたことばかりのように感じます。
ゆったりと流れていく時の中に浮かぶ、南の島での毎日を少しずつ紹介できればと思います。
しかし元来が怠け者で、夏休みの絵日記もまともに付けたことのない性格、どれくらいのペースで更新できるかは、当の本人にも全くわかりません。
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南島漂流記、本日(11/9)から25年目に入ります。
これからも、よろしくお願い致します。
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※各種お問い合わせは、こちらまでお願いします。 |
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2002.9.26
数ある与那国島の生き物の中で、気になって仕方ないのが、このヤシガニです。やはりヤシガニも、亜熱帯らしさを演出してくれている重要なキャラクターだと感じます。国内では、主に奄美大島以南に生息していて、与那国島の固有種ではないのですが、生息数では国内一ではないでしょうか。 今回の与那国島での取材は、このヤシガニがメインの被写体で、その姿にも味にもとても興味があります。もう20年以上も前に、那覇空港の売店で冷凍物を買って食べたことがあったのですが、正直言ってパサパサとした食感は、それ程印象に残る味でもありませんでした。それが、今回は本場の島で専門家に調理して貰える貴重な機会です。 今回お世話になった民宿「三平荘」のご主人にヤシガニ捕りから、調理までのフルコースを見せて頂きました。そして、これまでヤシガニは身(肉)だけを食べるものとばかり思っていたのは大きな間違いで、実は腹の中にある味噌が一番美味な部分であることをはじめて知りました。 ただ、ヤシガニ料理で気を付けなければならないのが、ヤシガニが食べている餌(木の実)によって、中毒することがあるのです。今回は、7名で料理を堪能したのですが、その中で何故か私だけがアタってしまい、一日半ほど頻繁なトイレ通いが続きました。しかし、これで本当のヤシガニのフルコースを体験出来たと言う訳です。
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ヤシガニ
NikonD1X Nikkor18-35/3.5-4.5ED Speedlight
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与那国島・立神岩
NikonD1X Nikkor18-35/3.5-4.5ED PL Filter
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2002.9.25
与那国島には、ヨナグニサン、ヨナグニウマ、日本で一番遅い日没、最近では海底遺跡と呼ばれるダイビングスポットなど、自然界のシンボルがいろいろとあります。そのようなものの中でも私が昔から好きなのが、この立神岩(たちがみいわ)です。 島の南東の海岸線の絶壁真際にそびえ立つ、高さ30m程の岩です。その絶壁の上から覗き込むと、紺碧の海の中から起立するその勇姿にいつも時間を忘れて見とれてしまいます。古くから島で暮らす人々も、何か畏敬の念を感じて、このようなネーミングに至ったのでしょう。 しかし、もし立神岩がこのような美しい海にの中になく、先端に緑がなかったのなら、これほどの強い印象を与えてくれたでしょうか。偶然の重なりとはいえ、自然の造型にはいつも驚かされます。地質構造上からか、与那国島には他にもこのような奇岩がいくつも見られます。そして、その姿から他の物に見立てられたりもします。この場所から数Km地点にある「海底遺跡」もそのようなことでなければよいのですが…
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2002.9.23
与那国島は外周30Km足らずの小さな島です。琉球列島は多くの島から構成されていますが、生物の世界では、どうもこの程度の大きさがその島だけに生息する固有種の存在できる最小の面積のようです。この与那国島には、昆虫だけでも18種の固有種が知られています。 島に生息する固有種は、その島で絶滅してしまったら、イコール地球上から消滅してしまうことですから、取り分け貴重な存在です。一方で固有種以上に、その生存の危機に直面している生き物も知られています。例えば、このアオナガイトトンボも、国内では元々与那国島だけに生息する種です。その与那国島でも、わずか2、3箇所の生息地で細々と生存しているにすぎません。そのひとつひとつの生息地もとても狭い限られたものです。 アオナガイトトンボは生息地が限られて個体数が少ないだけではなく、とても神経質なために、これまでに撮影された影像もほとんどないと言って過言ではありません。今回の与那国島取材では、3日間かけて徐々に接近を試みて、やっとのことでアップの影像をものにすることが出来ました。加えて、ビデオ映像の撮影にも成功し、これは本当に初めての映像記録かもしれません。
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アオナガイトトンボ
NikonD1X Sigma105/2.8 Macro X1.5Telecon Speedlight
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ヨナグニウマ
NikonD1X Nikkor18-35/3.5-4.5ED PLFilter
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2002.9.21
9年ぶりに与那国島にやって来ました。前回は、まだ石垣島・与那国島間にYS-11型機が飛んでいた頃です。久しぶりに訪れた与那国島は、道路標識など観光者向けの配慮が以前よりも行き届いているのを感じました。 その案内に従って、島でいちばん大きな集落・祖納から車で10分程の東崎(あがりざき)に行ってみました。ここには以前から、牛と馬が放牧されています。馬はヨナグニウマという小型の在来種で、与那国町の天然記念物に指定されています。間近に寄っても、小さな上に性質も大人しく、全く威圧感を受けません。 朝から夜まで、ひたすらもくもくと草を食んでいます。もし私が与那国島で生活したならば、「現像所がない」「パソコンショップがない」「書店がない」「コンビニがない」などと不満ばかり口にするに違いありません。しかし、この東崎で暮らすヨナグニウマの一生とはどのようなものでしょうか。美しい東シナ海をバックに、日がな草を食む生活は、馬にとってはとても幸せに違いありません。天然記念物ですから、ある日突然出荷されることもないのですし。但し、非難場所のない岬の先端だと、台風のときだけは辛そうですが…
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2002.9.10
今日は、通常では入る事の叶わない山原(やんばる=沖縄本島北部)の森で撮影をしてきました。現在、やんばるに建設中の公共の資料館のジオラマの背景写真の撮影のためです。 ここは米軍海兵隊の演習地であることと、福地ダムのダム湖から船でしか渡ることが出来ないため、さまざまな協力体勢を頂かないと実現不可能です。また、台風16号の通過直後でやんばるの森ではその影響も色濃く、今回の撮影はかなり難しいと思っていたのですが、実際に撮影が実現し、ほっとしました。 台風直後ということもあって、水系の水量は豊富で、まるで西表島の川を歩いているような錯覚を感じる程でした。さすがに、滅多に人の出入りのない環境だけあって、人工的なゴミがほとんどと言ってよいくらいに目に付かないのに感激しました。まだまだ、やんばるにこのような森と渓流が残っていることに、何処かとても安心しました。 2日連続で一帯を歩きながら、4X5インチサイズの大型カメラでの撮影だったのですが、不安定な天気の中、待ち時間の多い撮影で同行の皆さんをお待たせしている心苦しさと、水量が多く、膝丈のフィールドブーツに水が入ってしまった不快感を除けば、とても爽快感と充実感を伴ったフィールドワークでした。
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ハラマタ川上流環境
NikonD1X Nikkor18-35/3.5-4.5ED
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松枯れ病で枯れたリュウキュウマツ
NikonD1X Nikkor18-35/3.5-4.5ED PLFilter
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2002.9.8
台風の潮風の影響で、赤茶けた木の目立つやんばる(=沖縄本島北部)の山並ですが、それ以前から目に付くようになっていたのが、枯れたリュウキュウマツです。全国的に蔓延している、マツノマダラカミキリとマツノザイセンチュウを介して感染した松枯れ病によるものです。数年前に猛威をふるっていた松枯れ病も、最近は下火となっていました。ところが、今年辺りから再び勢いを盛り返したようです。 枯れたリュウキュウマツの点在する山並を遠くから眺めると、周りの緑と補色関係にあることもあって、一見して美しくさえ感じます。しかし、この後は葉を落とし、樹皮が剥がれ、その下の白い幹を晒すようになります。こうなると、亜熱帯沖縄の山並の中では、どこか似つかわしくない存在となります。 山に生育するリュウキュウマツが次々に枯れる状況は、決して好ましいものでないことは確かです。しかし、本来のやんばるの森には、リュウキュウマツは非常に少ない樹種なのです。それが、ある時代からその木材としての商品価値故に盛んに植林されるようになり、現在では森の至る処に群落が見られます。その本来の森の姿ではない状態が、再び自然の力に因って元に戻ろうとしていると考えると、どうなのでしょうか。
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2002.9.7
今回、沖縄本島を通過した台風16号。中心気圧こそ955ヘクトパスカルで、歴代台風の中でも、それ程強いものではありません。しかし直径100km近い目を持っていて、とても発達している様子が伺えました。 事務所のある中部でも、突然目に入った後、5時間近くも風雨が止み、静かな状態が続きました。その後の吹き返しの風はかなり強いものでしたが、街中では、今回の台風がそれほど強いものとの印象はありませんでした。 ところが、北部(やんばる)の山に入ってみて、今回の台風の威力を目の当たりにすることができました。至る処に、倒木や太い幹が裂けた木があり、林道も数100mおきに通行の妨げになっている状況です。まるでヤシの木を思わせるように大きな葉を広げているヒカゲヘゴも、すっかり葉を奪われて、幹だけが寂しく残っていました。 以前にも触れましたが、度々台風の襲来する沖縄では、自然界も人間社会もそれに適応した形態に進化しています。ですから、勢力が衰えてスピードを上げた同じ台風が本土を通り過ぎるときに大きな被害を残すのに、まだ勢力全盛でしかもゆっくりと通過する沖縄では大した被害も生じないのが常です。それでも、 10年か数10年に1回は、このような爪痕を残す台風もあるのでしょう。そして、そのダメージにも屈することなく生き延びてきたものが、現在のやんばるに見られる生き物たちなのでしょう。
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台風で葉の落ちたヒカゲヘゴ
NikonD1X Nikkor18-35mm/3.5-4.5ED
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