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生まれてから19年間過ごした東京ですが、どうも都会の生活は苦手で落ち着かないものでした。そして、その東京よりも長くなった沖縄での生活が続いています。
しかし、長いからといって、その土地の人になることは出来ません。こうしてみると、本当に自分自身の落ち着ける居場所は何処にもないような、そんな気もしてきます。
でも、これからも沖縄に住み、あちらの島やこちらの島を転々としながら、野生動物たちの撮影を続けていくことに変わりはないでしょう。
その仕事にしても決して要領のよいものでなく、いつもどこかワンテンポずれたことばかりのように感じます。
ゆったりと流れていく時の中に浮かぶ、南の島での毎日を少しずつ紹介できればと思います。
しかし元来が怠け者で、夏休みの絵日記もまともに付けたことのない性格、どれくらいのペースで更新できるかは、当の本人にも全くわかりません。
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写真展「亜熱帯やんばる〜多様性の森」終了しました。
ありがとうございました。
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※各種お問い合わせは、こちらまでお願いします。 |
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テッポウユリ
NikonD1X Nikkor18-35/3.5-4.5ED
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2002.4.30
昨日の激しい雨で、梅雨入りも間近かと思いましたが、今日は打って変わって初夏のような陽射しが戻ってきました。この陽射しの下で満開のときを迎えているのがテッポウユリの花です。 ちょうどゴールデンウィークの頃に満開となり、行楽地や渋滞する道路脇などに植えられているため、外来の栽培品種のようなイメージがありました。しかし、数年前に5月の西表島を訪れたときに、海岸線の岩場に、ポツリ、ポツリと一輪ずつ花を着ける野生状態のテッポウユリを初めて目にしました。 密植され一面に咲き誇るテッポウユリの花は確かに見応えがありますが、何処か重みの感じられない印象も拭えませんでした。しかし、この海岸の岩礁地帯で潮風に耐えながら、一輪ずつ力強く花開いている本来の姿を目の当たりにして、初めてこのテッポウユリの魅力が理解出来たような気がしました。
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2002.4.29
ゲットウの花が咲き始めました。沖縄ではサンニンとも呼ばれ、ちょうど梅雨の頃に開花する代表的な植物のひとつです。ゴールデンウィークが明ければ、もう沖縄地方の梅雨入りも秒読みですから、今年の暦もここまで進んでしまったのかと驚きます。 3月のうちから夏日を迎えたりで、既に夏の気分でいましたが、その前に鬱陶しい梅雨のあることを思い出させてくれたゲットウの花です。そう言えば今日もそうですが、このところ、ぐずついたはっきりとしない天気の日が増えていますから、本当に梅雨はそこまで近付いてきているのかもしれません。 梅雨の雨降りは、確かに撮影に向いた条件ではありません。ですが、一方で植物が活き活きとし、野鳥たちが繁殖期に入る他、両生類の活動が活発になったり、可愛らしいキノコに出会ったりと、なかなか楽しみな季節でもあるのです。
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雨の下に咲くゲットウの花
Canon PowerShot Pro90IS
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鳴くイワサキクサゼミ
NikonD1X Sigma105/2.8 Macro Speedlight
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2002.4.22
14日に取り上げたイワサキクサゼミの鳴き声が、八重山・宮古諸島に続いて、沖縄本島南部でもかなり聞かれるようになってきました。八重山諸島では3月から鳴き始め、日本でいちばん早く活動を始めるセミとして知られています。また、体長12~17mmと、日本最小のセミでもあります。 吸汁や産卵などは、イネ科の草本植物で行われ樹木にほとんど依存しない生活を送るため、クサゼミと呼ばれています。現在ではサトウキビ畑が主要な生息地ですが、1965年以前にはススキやチガヤ原で生活していたと言われています。それが、何故突然サトウキビ畑に進出してきたのか、はっきりと究明されていません。さらに、沖縄本島では南部の一部地域だけに生息して、その他の地域には分布を拡大しない理由も明らかではありません。 この日本一小さな体の中に、数々の特徴と謎を秘めたなかなか不思議な存在なのです。
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クメジマボタル
NikonD1X Sigma105/2.8 Macro Speedligt
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クメジマボタル
NikonD1X Sigma105/2.8 Macro Speedligt
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2002.4.19
クメジマボタルのビデオ撮影のために、急きょ久米島にやって来ました。クメジマボタルは久米島で1993年に発見された新種で、ゲンジボタルやヘイケボタルと同属近縁種にあたります。発見された翌年、沖縄県の天然記念物に指定されました。 94年には西表島などに生息するイリオモテボタルが新種として発表され、沖縄では立続けに新種のホタル発見に湧きました。クメジマボタルはゴールデンウィーク、イリオモテボタルは年末年始をピークに成虫が出現するため、地元研究者の盲点をつかれたような発見でした。 クメジマボタルは、近縁のゲンジボタルやヘイケボタルと同様に、幼虫は水中生活を送ります。日本のホタルというと、ゲンジやヘイケが代表種のようなイメージが定着していますが、むしろ逆なのです。幼虫が完全に水生なのはこの3種だけで、残りの種はほとんど陸上生活を送り、主にカタツムリを餌にしています。 今回の撮影はビデオが中心なのと、風が強かったため、スチル写真はほとんど写しませんでした。ほんの10数カットをデジカメで撮影しただけです。しかし、デジカメにとって最も苦手とする長時間露光のため、性能テストも兼ねての撮影のようなものです。 上の写真は、感度ISO800で約3分の露光をかけましたが、シャドー部分はノイズがかなり顕著に認められます。画像ソフトでシャドー部分を引き締めた上にこのサイズで表示しているため、まだ見られますが、とても実用的な画像クオリティとは言えません。下の写真も、感度ISO400、絞り開放で5、6秒のバルブ露光の後、F16でストロボ発光させての撮影です。上の写真ほどではありませんが、やはりシャドー部には相当のノイズが認められます。このような撮影では、未だフィルムに格段のアドバンテージが存在するのが現実のようです。
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2002.4.14
夏のような陽気となった日曜日、担当しているTVのコーナーのネタ探しに沖縄本島の南部を回ってきました。日本で一番早く鳴き出すイワサキクサゼミが目当てでした。日本で一番小さなセミでもあるイワサキクサゼミは、その名の示すとおり、元々はススキやチガヤなど草原が生息環境でした。それが40年近く前から、主な生息場所をサトウキビ畑へと変え、進出してきたのです。 サトウキビ畑の中に伸びる小道を、車のウィンドウを全開にしながら、ゆっくりと走ると、確かに「ジィ~~」という鳴き声が聞こえてきます。しかし、まだその数はとても少なく、広いサトウキビ畑の中から、その姿を探しだして撮影するのは、現実的ではない状況でした。 もう暫く時間をおいて再チャレンジすることにし、ある集落の路地に車を入れ、方向転換をしようとすると、そこの脇にはガジュマルの古木数株がそびえていました。「気根」と呼ばれる幹から垂れ下がるたくさんの根が絡み合い、果たして何株から成るのか見当もつかない状態です。亜熱帯らしい趣きたっぷりで、幹の何処かに鬼太郎の家があっても不思議でないような、そんな雰囲気が漂っていました。
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ガジュマルの古木
NikonD1X Sigma16/2.8Fisheye
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ヒメキランソウ
NikonD1X Nikkor18-35/3.5-4.5ED
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2002.4.14
何度目にしても、その度にハッとする花というものがあります。私にとってそのひとつが、このヒメキランソウです。地表を這うように、緑の葉と青紫色の花弁が広がっています。このコントラストが目に染みるようで、遠くからでも目立つのです。 車を走らせていても、この色に出会うと、私の目はすぐに反応してしまいます。一瞬、「今のは何だろう?」と思い、車を停めて確認すると、今の季節、このヒメキランソウであることが度々です。 同じような配色の植物にタイワンレンギョウがあります。やはり、私の気に入っている花のひとつです。どうも、紫や緑が細かに入り交じった造型に心引かれるようです。 ところが、遠目にはハッとするのですが、間近に寄って写真を撮ろうとすると、イメージは少し異なります。ファインダー内に拡大されたひとつひとつの花には、あまり魅力が感じられないのです。何故なのか、不思議なことです。
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2002.4.12
3月28日に紹介したデイゴの花も、沖縄本島ではほぼ満開となりました。 東京近郊では、入学式の頃に満開となるソメイヨシノの開花が年々早まり、特に今年はほとんど葉桜の入学式だったと聞きます。沖縄の入学式は、既に赤い実を着けたカンヒザクラと、燃えるようなデイゴの花が迎えてくれるのが例年の光景です。沖縄も年々、暖冬の影響が強くなっている印象はありますが、デイゴのは花期は長いため、新入生シーズンに花が見られないということはありません。 今年の沖縄は暖冬に加えて、冬からの少雨や、3月から夏日を記録するなどの異常気象が観測されています。そのために、春先の昆虫の発生などにも狂いが生じていましたが、このところのまとまった雨や、肌寒さを感じるような日もあったりで、本来のペースに戻りつつあるようです。まだなんとか帳尻を合わすことの出来る自然界ですが、いつ破綻を来してしまうのだろうかと、年々その不安は大きくなっていきます。
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満開のデイゴ
NikonD1X Nikkor70-300/4-5.6ED
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オオシマカクムネベニボタルのペア
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight
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2002.4.6
春の山原(やんばる=沖縄本島北部)の森でよく見かけるのが、このような鮮やかな紅色の上翅を持つ細長い体型の甲虫です。注意深く観察すると、よく似た数種類の昆虫が混じっているのですが、その中で最も多く見られるのがこのオオシマカクムネベニボタルです。 この春先に観察される不思議な現象の秘密は、ベニボタルの仲間の生き残り戦略にあります。ベニボタル類は危険を感じると、捕食者に対して不快な毒物質を分泌して捕食を免れようとします。その有毒であることを天敵にアピールするための「警告色」と呼ばれる鮮やかな色彩なのです。 そして、それに便乗して生き残りを計ろうとする種も同時に出現してきます。アマミアカハネハナカミキリ、アカハネムシの1種など実に多くの甲虫がベニボタル類に擬態しているのに気付きます。たかが虫けらの世界ですが、生き残るためのさまざまな戦略が発達するなど、興味深い世界が広がっています。
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2002.4.5
新緑の季節の山原(やんばる=沖縄本島北部)を象徴する香りはというと、スダジイの花です。もっとも、それはクリの花にそっくりの青臭いものですから、決して心地よいとは言えません。 4月に入り、スダジイの花もピークを過ぎ、特有の臭いも次第に薄らいできました。それに代わって、山原の森に漂っている花の香りが、このイルカンダのものです。あるいはウジルカンダとも呼ばれるマメ科の植物は、太くて長い蔓(つる)を巨木に巻き付け、如何にも亜熱帯の森に相応しい雰囲気です。 やがて6月頃になると、長さ50cmを超えるような大きな莢(さや)をたくさん着けます。その中に納まっているひとつひとつの豆は真っ黒で固く、碁石よりもふた回りほども大きなものです。 ところで、このイルカンダの花の香りはというと、表現は難しいのですが、埃っぽいというか、土埃と油が混ざったようなというか、これもまたスダジイに負けない異様な臭いなのです…
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イルカンダの花
NikonD1X Nikkor70-300/4-5.6ED PLFilter
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オオシマオオトラフコガネ(褐色型♂)
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight
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2002.4.4
今年は、全国でサクラの花の開花が異常に早かったようですが、山原の新緑も例年より早く感じられました。しかし、これも春先には珍しい雨不足で森は乾燥し、昆虫たちの発生が遅れていました。それが、3月末から続けて降った雨のお陰で、やっと春の昆虫たちの姿も出揃った感じがします。 亜熱帯沖縄でも、冬の昆虫の活動はそれほど盛んとは言えません。そのために、春先に一斉に出現してくる昆虫たちには目を見張るものがあります。そのような春の昆虫の中で、私の最も好きな種がこのオオシマオオトラフコガネです。 体長10mm程の小さな体ですが、巡ってきた春を全身で満喫しているかのような、元気いっぱいの姿が微笑ましく感じられます。この写真は、褐色型の♂ですが、数100匹に1匹程度の割合で、この茶色の部分が黒色に置き換わり、全身黒と黄色だけの黒色型の変異個体が出現します。また、♀の数もかなり少なく、その出現する確率は黒色型と同程度のように思います。今春は、まだ黒色型にも♀にも出会っていませんが、これからが楽しみです。
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2002.4.4
まだ子どもの頃、近所に買い物に出かけた母が「いいものを見つけたわ!」と弾んだ声で戻ってきました。手には一輪のネジバナがあったのを覚えています。聞けば、母の大好きな草花のひとつ。母の説明で、小さな可憐な花が螺旋状に咲いているのを、子どもながらに感激して見たものです。しかし、その後東京の23 区内の生活では、ほとんどネジバナに出会う機会はなかったように思います。 そして、24年前に移り住んだ沖縄では、春になると、那覇市の町中でも、山原(やんばる=沖縄本島北部)の林道沿いでも、かなり頻繁にこの花を見かけるようになりました。分類上は、ナンゴクネジバナと言われていますが、子どもの頃の記憶との比較では、東京で初めて見たネジバナと何処がどう違うのか、よく判りません。 この写真は、山原にあるダム公園の芝生に群生していたものです。肉眼で見ると一面のネジバナ群落なのですが、あまりに小さいために、ひとつひとつの花の形が判り、かつたくさんの株が並んでいる写真を撮るのには、結構苦労させられました。
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ナンゴクネジバナ
NikonD1X Nikkor28-105/3.5-4.5 PLFilter
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