生まれてから19年間過ごした東京ですが、どうも都会の生活は苦手で落ち着かないものでした。そして、その東京よりも長くなった沖縄での生活が続いています。 しかし、長いからといって、その土地の人になることは出来ません。こうしてみると、本当に自分自身の落ち着ける居場所は何処にもないような、そんな気もしてきます。 でも、これからも沖縄に住み、あちらの島やこちらの島を転々としながら、野生動物たちの撮影を続けていくことに変わりはないでしょう。 その仕事にしても決して要領のよいものでなく、いつもどこかワンテンポずれたことばかりのように感じます。 ゆったりと流れていく時の中に浮かぶ、南の島での毎日を少しずつ紹介できればと思います。 しかし元来が怠け者で、夏休みの絵日記もまともに付けたことのない性格、どれくらいのペースで更新できるかは、当の本人にも全くわかりません。
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南島漂流記、本日(11/9)から25年目に入ります。 これからも、よろしくお願い致します。
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2004.1.31
今月の9日にここで紹介したイイギリの木が、葉もほとんど落ち、実だけの状態になっていました。周りを緑の葉で覆われていたときよりも、房状の実は目立つ存在に映ります。しかし、同時に実の数は明らかに減っています。それも木全体に均一ではなく、局所的にほとんど無くなったり、あるいは残っていたりと。
 この実の減ってしまった原因は何でしょうか?すぐに思い浮かぶのは、野鳥による採餌のためでしょう。ところが、このイイギリの実、いかにも美味しそうで、量的にも恵まれ、目立つ存在なのですが、意外にも鳥達に人気がないようです。このような木に野鳥が群がって、ついばんでいる光景は、ありそうでいてほとんどないのです。実際、イイギリの根元では、干涸びて落果した房状の実を目にすることも少なくありません。
 ということは、風の強く当った枝だけが、実を落としてしまったのでしょうか?それとも、人知れず、野鳥が食べているのでしょうか?あるいは、野鳥以外の動物が?ちょっと気になるところです。
  すっかり葉の落ちたイイギリ
すっかり葉の落ちたイイギリ
NikonD1X Nikkor70-300/4-5.6ED PL-Filter
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NikonD1X Sigma105/2.8Macro X1.5Telecon Speedlight
  2004.1.30
さて、何と言う植物なのでしょうか?街中のカンヒザクラの根元に絡まっていた蔓性植物なのですが、その小さな蕾から実までの並び方というか造りが面白かったのでシャッターを押してみました。事務所に戻り、植物図鑑を捲ってみましたが、該当する種を見つけることは出来ませんでした。近日中に植物に詳しい方に訊ねてみようと思います。あるいは、これをご覧になった何方かが、教えてくださるかもしれません。
 在来種なのか外来種なのかも分りませんが、シャッターを押しながら、いろいろな思いを巡らせてしまいました。動物の世界では、ペットを初めとする外来種が野外に逃げ出し、在来種を脅かす脅威となっている例も少なくありません。沖縄での極端な例では、マングースや野生化したネコとヤンバルクイナの関係でしょうか。
 しかし、植物の場合は、あまり問題にされることは少ないようです。街中には色とりどりの花木が植えられ、私たちの目を楽しませてくれます。その多くが、外国やその土地以外から持ち込まれた外来種です。でも、それに目くじらを立てる人はまずいないでしょう。タンポポの在来種が外来種に駆逐されようとしているニュースはときどき目にしますが、植物の世界は、動物の世界に比べて外来種に対してとても寛容に思えます。沖縄県花に選定されているデイゴでさえ、マレー半島原産の外来種なのですから。
 しかし、自然環境の残る奥地となると、そうも言ってられません。山原(山原=沖縄本島北部)の林道沿いにも、街中と同じようにセンダングサ類がはびこっていますし、一見自然に見えるススキも林道沿いに分布を拡げたと言われています。一番不自然なのが、林道工事の後に、ハイビスカス、ハギ、コスモス、ウエデリアなどの栽培種を植えることです。法面の吹き付けにも外来種の牧草の種子を使っていたはずです。このような環境では、植物といえども、明らかに自然生態系の撹乱に繋がっています。動物のように短時間に長距離移動はしない植物ですが、反対に時間を掛けてジワジワと分布を拡大していきます。しかし、そのほうが、もし人為的に駆除する必要が生じた場合、より厄介な存在となるでしょう。
 長々と書いてしまいましたが、この植物が在来種であったら、何とも不釣り合いな写真と文章になってしまいますね・・・
※アップして間もなく、昆虫写真家の新開孝さんから「ツルムラサキでは?」というメールを頂きました。熱帯アジア原産で、葉と蔓は食用で体によいそうです。蔓は赤いものと緑のものがあるようです。
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2004.1.28
ここ1週間ばかり居座っていた寒気が去り、強い北風も治まって、久しぶりに穏やかな気分の夕暮れを迎えました。
 滅多にないことなのですが、今日の夕刻は依頼された撮影のために大型スーパーの屋上に立っていました。すると、ちょうど近くに見える小高い山の裏に陽が沈み、ささやかな夕焼けが広がりました。ちょっと撮影を中断して、5、6枚シャッターを切りました。
 普段であれば、わざわざレンズを向ける程の夕焼けでもないのですが、ここ数年の暖冬続きの冬場には珍しく寒い日が続いたために、この景色に何処かほっとした気分でした。
 久しぶりに気温が上昇したことで、例年よりも遅れている沖縄本島北部のカエルの繁殖行動も活発化するでしょうか?
  沖縄本島中部・西原町の夕暮れ(18:56)
沖縄本島中部・西原町の夕暮れ(18:56)
NikonD1X Sigma18-50/3.5-5.6
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クワズイモの葉
クワズイモの葉
NikonD1X VR Nikkor80-400/4.5-5.6ED
  2004.1.26
やはり、天気がよく気温が上昇すると、レンズを向ける対象が多くなります。今日のそのひとつが、このクワズイモの葉。逆光に照らされて、いつもとはやや異なった印象でした。
 普段は、ただ巨大な葉くらいにしか目に映らず、大雑把な存在と思っているのですが、冬の陽に照らされると、意外な一面も見えてきます。そこには、決して単純ではない陰影とグラデーションが浮かび上がってました。
 クワズイモは草丈が2m以上にも生長する植物です。その大きな葉といい、仏炎包と呼ばれるフードに覆われた花といい、ちょっと不思議な雰囲気を漂わせています。同時に、森の中では木生のシダ、ヒカゲヘゴと共に亜熱帯らしさを演出してくれる重要なキャラクターでもあります。但し、その組織内にはシュウ酸が多量に含まれ、和名のとおり食べることはもちろん出来ませんし、皮膚の弱い人は、その液が着いてしまうだけでかぶれることもあるので、要注意です。
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2004.1.26
気温は低いものの久しぶりに青空が顔を覗かせました。そして気がつくと、沖縄本島の中部地域でもカンヒザクラの花がほころび始めていました。まだ、早い木でも2、3分の開花ですが、青空を背景によく映えています。
 カンヒザクラの花にレンズを向けていていつも思うのは、とても変異が多いことです。まず花弁の色ですが、紅梅か桃を思わせるように濃いものから、ソメイヨシノのようにかなり淡いものまであります。雄しべも白いものから濃い紅色まで。そして花の開き具合は、一般には下向きに咲き、あまり花弁が開かないのが特徴だと言われていますが、これも株によってかなりの差が認められます。さらに、花弁の皺までにも変異が。
 このような観点からは、今月9日に紹介した本部半島のカンヒザクラの花はあまり典型的なものでなかったかもしれません。どちらかというと、桃の花のイメージに近かったでしょうか。それに対して、今日のカンヒザクラの花はかなり典型的なものではないかと思います。
  沖縄本島中部でも咲き始めたカンヒザクラ
沖縄本島中部でも咲き始めたカンヒザクラ
NikonD1X VR Nikkor80-400/4.5-5.6ED
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今朝の山原渓流環境の気温
今朝の山原渓流環境の気温
NikonD1X Sigma18-50/3.5-5.6 Speedlight
  2004.1.25
昨夜から今晩も山原(やんばる=沖縄本島北部)の渓流通いです。最大の目的は、ハナサキガエルの集団産卵。ある冬の晩に滝壷で数100匹のカエルが集団で産卵するのです。それもほとんど一晩だけの出来事という不思議。
 ピヨピヨとまるでヒヨコのようなメーティングコール(求愛鳴き)が夜の沢に響き、滝壷にカエルたちが集まり始めたかと思うと、ある夜に一斉に産卵するのです。さらにそれを狙って集まる夥しいヒメハブたちまで。
 この真冬の夜の大スペクタクルを撮影しようとしているのですが、ときおりピヨピヨという鳴き声を単発的に耳にするだけで、まだ滝壷に集まる気配がありません。最初、今冬の少雨傾向の影響ばかりと思っていましたが、先日ヒメハブの調査の方に出会ったので、質問してみたところ、さすがにここ数日の気温は低過ぎるらしいとのこと。そう言えば、いつも会いたくなくても必ず出くわすヒメハブにも、まだ全く会っていません。
 この渓流環境のある地点に、かなり昔に吊るされてそのままになっている古ぼけた寒暖計があります。ここ一週間の深夜から明け方の気温は、6度から8度辺りを指しています。これまでは、かなり寒いと感じてもせいぜい11度くらいだったのですが。今朝も4時に寒暖計を見た直後はちょうど6度でした。撮影用のライトを当てたところ、0.5度上昇してしまいましたが・・・。一昨日は、山原にも霰(あられ)が降ったそうです。未だに降雪の記録はありませんが、霜は降りるとも聞きます。ここ何日かでさらに最低気温を更新するのでしょうか?そして、ハナサキガエルの集団産卵はいつになるのでしょう?
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2004.1.24
この1週間、カエルの繁殖行動狙いで山原(やんばる=沖縄本島北部)と事務所の往復の日々です。ついこの前までは、日中は暑い程の暖冬続きだったのですが、急に沖縄本来の北風の強い曇天か小雨混じりの毎日となってしまいました。そうなると、亜熱帯の森とはいえ、さすがに動物たちの姿は寂しくなってしまいます。
 そのような森で、ちょっと目を楽しませてくれるのが、木の実たちです。このアオノクマタケランや、マンリョウ、センリョウ、リュウキュウツルコウジの赤い実やルリミノキの仲間たちの青い実が代表的なものです。森の中に入れば、決して珍しい植物ではなく、あちらこちらで見掛けます。しかし、綺麗に熟した実が隙間無く着いた株というのは、そう簡単に出会えません。熟した端からついばんでしまう野鳥との競争だからなのです。
 この「南島漂流記」は私の日々の撮影カットを淡々を紹介しようとするのですが、どうしても日本の中の亜熱帯気候では、「こんな生き物が活動してるんですよ!」と温帯で生活している皆さんについつい自慢したくなってしまうのです。しかし、私のサイトからリンクしている海野和男さん新開孝さん糸崎公朗さんの日記などを拝見していると、温帯でもかなりの昆虫や小動物が真冬でも活動していて、ちょっと拍子抜けすることも少なくありません.まぁ、今日の映像は、何処から見ても冬そのものなので、張り合う気持ちは全くないのですが・・・
  アオノクマタケランの実
アオノクマタケランの実
NikonD1X Sigma18-50/3.5-5.6
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甲羅の割れたリュウキュウヤマガメ
甲羅の割れたリュウキュウヤマガメ
NikonD1X Sigma18-50/3.5-5.6 Speedlight
  2004.1.23
昼間、林道を走っていてリュウキュウヤマガメを見つけました。この時期には珍しいことです。しかし、近付いてみると、甲羅の後側に大きな亀裂があります。どうも車に轢かれたようですが、なんとか死なずに済んだのでしょう。
 林道で轢かれるリュウキュウヤマガメは、決して少なくありません。特に林道が拡幅鋪装され、一般の車が頻繁に出入りするようになってから増えたように感じます。きっと周りの風景に気を取られて、ドライバーは気付かないのでしょう。
 リュウキュウヤマガメの英名をRyukyu Black-breasted Reaf Turtleといいます。直訳すれば、黒胸葉亀です。確かに甲羅の裏側は真っ黒ですが、「葉亀」は最初、理解出来ませんでした。しかし、あるとき孵化間もない甲長3~4cmの子亀を森の林床で見つけたときに、「なるほど!」と思いました。林床の枯葉にそっくりで、動かない限りその存在に気付かない程でした。
 ところが、甲長10数cmの成長した親亀は、とても葉には見えません。どちらかと言うと、泥か岩の小さな塊のようです。それが林道に出てきてじっとしていたら、轢かれてしまうのも無理ないかもしれません。何十万年、何百万年という長い時間の中で生息環境に適応し獲得した形態と行動ですが、わずかここ数十年で遭遇した林道と車には対処しようがないのです。
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2004.1.22
ここ数日、夜はカエルの繁殖狙いの渓流歩き、昼は冬に咲く花を求めて林道を走る毎日です。森で見られる在来種の花は、白色や黄色の地味なものが多いのですが、今の季節はよりその傾向が強く感じられます。もちろん、ヤブツバキのように例外はありますが・・・
 そのような森で、ちょっと派手目の花に出会いました。その葉から、サルトリイバラのようです。しかし、よく観察すると、一見派手に見えるのは花そのものではありません。花自体は、やはり地味な色彩で構成されています。
 勉強不足ですが、サルトリイバラの花がこのようなものだとは知りませんでした。しかし、変な言い方ですが、全く知らなかった訳でもありません。10年程前の秋、やはり林道沿いの茂みで、放射状の柄の先に緑色の実が集まり、全体では球形を成している植物を見つけた記憶があります。そのときは気付きませんでしたが、その植物の葉はやはりサルトリイバラだったのを今になって思い出しました。10年越しの「神経衰弱」ゲームの札が合ったような気分でした。
※その後、図鑑を調べたところ、沖縄に分布するのはサルトリイバラの変種(variety)オキナワサルトリイバラとして扱われていました。
  サルトリイバラの花
サルトリイバラの花
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight
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イシカワガエルの雄
イシカワガエルの雄
NikonD1X Nikkor70-300/4-5.6ED Speedlight
  2004.1.22
昨夜は、冬に繁殖するカエルを狙って、深夜の渓流歩きをしてきました。途中に吊るしてある寒暖計を見たら、7度を指していました。全国各地で、今冬一番の冷え込みを観測したようですが、果たして明け方にはどの程度まで気温が下がったのか、興味のあるところです。
 肝心のカエルのほうは寒過ぎたのか、そろそろ集団産卵の時期を迎えるはずのハナサキガエルも、それを狙ってやって来るヒメハブもさっぱりでした。唯一、イシカワガエルの鳴き声だけが夜の渓流に響いていました。日付けも22日に変わり、そろそろ引き上げようかと思ったところに、この穴の中からこちらを窺っている、格好のポーズのイシカワガエルを見つけました。まずビデオで、鳴く瞬間を1回だけ撮影出来ました。しかし、いくら待っていても2回目は鳴いてくれません。では、最後にデジカメで記念写真をと思い、撮影したのがこのカットです。残念ながら、このときもも鳴いてはくれませんでした。ところが、その場を離れてみるとすぐさま「キャウッ!」と鳴き始めるではないですか・・・
 ところで、このイシカワガエルを撮影する前にももう1匹見つけて撮影しました。そのイシカワガエルは片方の眼がかなりひどく傷付いていました。恐らく、この先あまり長くは生きられないことでしょう。イシカワガエルは体長が10数cmもある大型のカエルです。果たして、どのような天敵に攻撃された結果なのでしょうか?山原(やんばる=沖縄本島北部)の真冬の深夜の森で、イシカワガエルの天敵となりそうな動物は、あまり想像出来ないので、ちょっと不思議に感じました。不思議と言えば、この一見目立ちそうな体色も、苔蒸した岩の多い生息環境では、カムフラージュの効果が高いと一般に言われています。しかし、やはりこれもどのような天敵に対して有効なものなのか、前々から不思議に感じていました。
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2004.1.21
知床が世界自然遺産に登録されるニュースが流れています。これだけをとれば、とてもすばらしい出来事だと思います。しかし、琉球列島の自然に関わっている立場からは、決して素直に喜ぶだけの気持ちにはなれません。
 何も知床の自然環境にケチを付ける気は毛頭ないのですが、知床は陸続きの地域ですから、そこだけの固有種は存在し難い状況です。しかし、琉球列島を構成している各々の小さな島には、地球上でそこだけにしか生息していない固有種がとても多く存在しています。つまり、そこからいなくなってしまったら、地球上からいなくなってしまう、絶滅ということです。しかも、周りを海に囲まれた環境ですから、そこの環境が悪化したからといって、簡単に他の地域に移動することが出来ないのです。
 このような自然環境こそ、最優先で保護しなければと思うのですが、現実の世の中というものは、いろいろとしがらみがあり、そう純粋に事は運ばないようです。しかし、そのようなしがらみに阻まれている間にも、次々と生息状況が悪化し絶滅に追いやられようとしている生物も少なくありません。果たしてこの10 年余りで、どれだけヤンバルクイナの数が減ったでしょうか?
 10数年前に、知床の伐採問題が盛んに全国ニュースとなったときも同じ気持ちでした。生長した一部の木を伐採し、ヘリコプターで搬出するという知床に対し、琉球列島では、固有種の宝庫の森の広大な面積が下草まで残さずに皆伐されているというのに、全国的な問題として取り上げられることもないのです。
 カーラジオから流れる知床のニュースを聞きながら見る山原の山並は、天候不良の所為にも増して暗く映るような気がします。
  国頭村伊部岳周辺の亜熱帯林
国頭村伊部岳周辺の亜熱帯林
NikonD1X Sigma18-50/3.5-5.6 PL-Filter
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オオベニゴウカン(アカバナブラッシマメ)
オオベニゴウカン(アカバナブラッシマメ)
NikonD1X Sigma18-50/3.5-5.6
  2004.1.20
写真を見ると、今日の沖縄は好天のように見えますが、実際には雨が降ったり止んだりと、典型的な冬の空模様です。それがほんの一時、薄日が射したときに、ちょうどこの花にレンズを向けていたのです。
 この花にはちょっとした思い出があります。26年前に琉球大学に入学して間もなく、暇を持て余した同級生どうしで、植物園に出掛けたのです。そこには熱帯、亜熱帯の園芸植物の数々が露地植えされていて感激したのですが、その中で最も印象的だったのが、このオオベニゴウカンの花でした。鮮やかな赤色の綿毛が綺麗な球形をなして、枝に沢山ついている様がとても不思議に感じられたのです。そのときの説明プレートには「アカバナブラッシマメ」とあったので、この名称のほうがピンときます。それに、こちらのほうが、より特徴を表しているように思えて好みです。
 この植物は沖縄のものではなく、熱帯アメリカ原産のキャリアンドラのひとつです。近年の暖冬の影響は、昆虫の世界では如実に感じますが、園芸植物の世界でも感じられるような気がします。以前は、沖縄の気候ではやや無理があるのか、いまひとつ花着きがよくなかった品種が、最近では見間違うように見事な花を見せてくれるようになったものもあるように感じます。それとも、栽培技術の進歩の賜物なのでしょうか?
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2004.1.19
今日の沖縄は、朝から雨が降ったり止んだり。おまけに、北風が吹き気温も日中で15度前後と生憎のお天気です。尤も、これが沖縄の典型的な冬の空模様であって、このところの暑いくらいの晴天続きが異常だったのです。今年は冬になっても雨が少なく、北部のダムの貯水率も低下しているそうです。
 これが本来の冬の天候とはいえ、連日の晴天続きから、急に雨混じりの北風になると、暑い季節が恋しく思われます。植え込みにふと目をやると、まだ残っていたヒマワリの枯株がありました。下向きになった花序には、まだビッシリと種子が着いています。真っ黒に炭化したような種子の塊は、何処か迫力を感じます。夏の強い陽射から貯えたエネルギーが詰まっているようにも見えてきます。
 毎年冬になると、寂しくなったフィールドで、必死になって数少ない生き物の姿を探し回るのが常です。そして、また暑い季節が巡ってきて、沢山の生き物たちの姿に溢れる光景を想像しては、そのときの撮影の構想を頭に巡らすのです。ところが、いざシーズンインしてみると、余りの暑さにめげてしまったり、カやブユの襲撃にへき易したり、なかなか想像通りの夢の世界ではないことに再び気付くのです。
  ヒマワリの種
ヒマワリの種
NikonD1X Sigma18-50/3.5-5.6 Speedlight
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カンヒザクラの蕾
カンヒザクラの蕾
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight
  2004.1.18
昨日から、沖縄本島北部の本部町(もとぶ)では、桜祭りが始まったそうです。「日本一早い桜祭り」と言われていますが、ここでも何度も触れたように、ソメイヨシノではなく、寒い時期に咲く「寒緋桜」なので、本当にこう表現していいものなのか・・・
 寒い季節に咲く種であるためか、カンヒザクラは北のより寒い地域から開花し始めます。そして次第に南下するのですが、私の事務所のある西原町では、まだちょっと早いようです。西原町は、那覇市と沖縄市(コザ)のちょうど中間辺りに位置するのですが、まだこれといって花の目立つ木はないようです。いつもの散歩コースの琉球大学構内も、例年より開花が遅れているようです。昨年にも増す暖冬の気候が、寒緋桜の生長に影響しているのかもしれません。
 私の事務所の入っている建物の周囲にも、カンヒザクラの木が3本植えられています。何気なく見ている分には、まだ開花の気配は感じられないのですが、そのうちの1本の枝先をよく観てみると、蕾が少しほころんで、濃い紅色の花弁が覗いているものがありました。やや遅れてはいますが、今年も間もなく花の季節がやって来るようです。
 このような空バックの撮影をしてると、レンズ交換式のデジタルカメラの場合、撮影素子CCDをカバーしているフィルターに付着した細かいゴミが目立ってしまいます。サービスステーションでクリーニングしてくれますが、沖縄で仕事をしていては、そう頻繁にとはいきません。今月の5日に東京でクリーニングして貰ったばかりなのですが、早くも小さなゴミが目に付き始めています。このゴミ問題は、ユーザーの誰しも頭を悩ませていることです。困っているのは、開発したメーカーも同様だと思いますが、何とか早急に解決して貰いたい問題です。
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2004.1.17
今日、明日とセンター試験のため、いつもの散歩&撮影コースの琉球大学が入構禁止です。そこで、学生時代によく通った、大学に程近い通称「墓場」に10数年振りに行ってみました。「墓場」は、かなり広い敷地に畑とお墓が混在というか点在し、その間は、林や草地が占め、意外な自然が残っている環境なのです。昆虫学教室の学生の頃は、よくここに昆虫の調査や観察、あるいは飼育しているカマキリのための餌採りに通っていました。
 10数年振りに訪れた「墓場」は、商用霊園になったためか以前よりも開発されていましたが、面影は残っています。しかし、さすがに冬場だけあって、これといった昆虫も目を引く植物もなく、車の停めてある方向に戻り始めました。車の近くまで来て、ふと日陰の斜面を見ると、白っぽい小さな花が目に入りました。冬に相応しい、ちょっと寂しげな雰囲気の花です。その葉や茎の形状から、どうやらツルグミのようです。ただ、ツルグミにしてはちょっと花期が早いような気がします。ツルグミの実が色付くのは、暑い季節だったはずなので、実を結ぶまで随分時間が掛るものだと思いました。
 事務所に戻り図鑑を見たところ、沖縄での結実は3月頃となっています。完全な勘違いでした。しかし、これにはちょっと思い当たることがあります。東京の生まれ育った実家の庭には、やはりグミの木があり、初夏の頃にユスラウメとともに甘い実を着け、それを食べるのが楽しみだったのです。そのために、グミの実イコール暑い季節というイメージが定着していたのかもしれません。確かに、図鑑によると、ツルグミは本州から台湾にかけて分布しますが、関東地方では 10~11月に開花し翌年5月頃に結実するとあります。これならば、子供の頃の記録とそれ程違いません。
  ツルグミの花
ツルグミの花
NikonD1X Sigma18-50/3.5-5.6
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狩りをするクロスジスズバチ
狩りをするクロスジスズバチ
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight
  2004.1.16
ランタナの花の撮影をしていると、そこにはいろいろな昆虫がやって来ます。アオスジアゲハ、アカタテハ、ヤマトシジミなどのチョウに混ざって、ヒラタアブ、セイヨウミツバチ、クロスジスズバチなども目に付きます。
 クロスジスズバチは、沖縄ではごく普通に見られる狩りバチで、塀や壁に造られた泥製の巣もよく目にします。しかし、花にやって来ているのは何度も見ていますが、その肝心の狩りをする姿は一度も見たことがありません。
 今日も最初は単に訪花している姿だけを狙っていたのですが、突然花の下のほうに潜り込んでいたかと思うと、何かを抱えて出て来ました。どうやら、ガの幼虫を捕らえたようです。大あごでしっかりと胴体を挟んでは、盛んに尾端の針を射すような行動を繰り返します。これがよく言われる、泥の巣の中に幼虫のための餌を入れる前にする麻酔なのでしょう。殺してしまっては、巣の中で卵が幼虫になるまでに餌が腐ってしまうのです。それにしても、今の季節に狩りをしているということは、真冬でも繁殖をしているのでしょうね?
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2004.1.16
今日は薄日が射したり曇ったり、ややはっきりしない天気でした。それでも日中の気温は20度を上回り、冬には使わない表現かもしれませんが、小春日和というような一日でした。
 いつものように、カメラを持ち事務所の周辺を車で走っていて、目に付いたのはランタナの花です。色とりどりの品種が植えられ、遠くからでも目を引きます。今月の7日にも書いたように、ごく普通の色彩のランタナやトウワタなど、赤から黄色の同系色によって構成された細かい花の集合が好きです。
 それと同時に、このコバノランタナやタイワンレンギョウ、ヒメキランソウなどの、紫や青紫色の細かい花にも惹かれます。これらの花がたくさん固まって咲いていると、ついつい車を停めて、見入ってしまいます。
 撮影のために花に顔を近付けると、ちょっと特徴のある香りが漂ってきました。まるでミントのような香りです。ファインダーを覗き、「そう言えば、ランタナもシソ科の植物だったかな?」などと思いながらシャッターを切りました。
※その後、図鑑で確認したところ、ミントはシソ科でしたが、ランタナはクマツヅラ科でした。
  コバノランタナ
コバノランタナ
NikonD1X Sigma105/2.8Macro PL-Filter
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咲き始めたカエンカズラの花
咲き始めたカエンカズラの花
NikonD1X Sigma18-50/3.5-5.6
  2004.1.14
昨日はかなり冷え込みましたが、今日は青空とともに暑い冬が戻ってきました。日中、車に乗っていても、渋滞に巻き込まれると、ついエアコンをONにしたくなります。
 住宅街を走る車窓から、急に目に付くようになってきたのがカエンカズラの花のオレンジ色です。まだ咲き始めばかりのようですが、いろいろなところで目にしますから、少し前から花や蕾が生長していたのでしょう。それなのに、昨日のような寒い曇りの日には気付かないのですから、不思議です。オレンジ色の花と補色の緑の葉による鮮やかなコントラスト、そして青空をバックにするとより映える植物ですから、そのためでしょうか?
 昨年も、このカエンカズラを紹介していますが、2月6日に満開になった状態です。今年は昨年よりもやや早いのでしょうか?昨年の写真もそうですが、この花は色彩といい大きさといい、遠くから眺めていても絵になるので、あまり近付いて見たことがありません。今日は咲き始めということもあり、車を停めて初めて間近に覗き込んでみました。
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2004.1.13
昨夜から今日にかけて、今週のTVのためのビデオ編集をしました。その中に使う予定だったアブラムシ(アリマキ)の映像が、思っていたよりも風によるブレがひどかったので、急遽撮影しなおしました。運良く数日前、事務所の駐車場脇に数本生えているカラシナに、アブラムシが付いていたのを覚えていたのです。
 今日は急に寒くなり真冬の気温になったのですが、数日前に見つけたアブラムシは相変わらずでした。しかし風が強いので、このように小さな被写体の撮影は、屋外では到底無理です。仕方ないので、通常はなるべくしないように心掛けている、室内撮影をすることにしました。
 ビデオ撮影は短時間で終わり、編集も無事済みました。その後、もう一度アブラムシを観察してみると、午前中のビデオ撮影のときには見られなかった有翅虫も羽化しています。そこで、デジカメでも撮影してみることにしました。
 ベローズに広角28mmをリバースして装着し、ダブルレリーズでシャッターを切るという古典的な高倍率撮影です。撮影倍率は、9倍程度でしょうか。最新のデジタルボディと年代物の純機械式のベローズの組み合わせが、何処か不釣り合いな感じです。キヤノンのシステムであれば、等倍から5倍までの高倍率撮影が簡単に出来るマクロレンズがあるので、こんな大袈裟な機材を持ち出さなくても済むのですが・・・是非、ニコンにも開発して欲しいレンズのひとつです。
  ニセダイコンアブラムシ有翅虫
ニセダイコンアブラムシ有翅虫
NikonD1X AI Nikkor28/2.8s Bellows Speedlight
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産卵しようとするホオヒゲハリバエの一種
産卵しようとするホオヒゲハリバエの一種
NikonD1X Sigma 105/2.8Macro Speedlight
  2004.1.11
沖縄本島北部の宜名真(ぎなま)でほぼ半日狙っていたのが、この寄生バエの産卵行動です。もう今から10年以上前に、この場所で銀塩(フィルム)カメラで撮影し、科学朝日の巻頭に掲載された、印象深い被写体です。ホヒゲハリバエの一種、恐らくリュウキュウホオヒゲハリバエという種です。
 何がスゴイって、ご覧のように雌の産卵管が体長の1.5倍程もあるのです。しかも、この産卵管、いつもは腹部に隠されていて、産卵の瞬間だけ、一瞬にして伸びたり縮んだりするのです。その産卵管で狙うのは、ノカラムシの葉を糸で綴って造った巣の中にいるアカタテハの幼虫です。幼虫の頭に付いてる白い細長い物体が、産み付けられた卵です。頭部を狙って産卵するのは、幼虫の口で除去されないようにするためなのでしょう。
 午前中に1匹のハエを見つけ、今回はビデオで撮影しようとしたのですが、なかなかアカタテハの幼虫が巣の中央から移動しないので、ハエも産卵することが出来ずに、じっと好機が訪れるのを待ったままです。午後になると、ハエの数も増え、巣を造り始めたばかりの幼虫に連続して産卵する様子を撮影することが出来ました。
 一通りビデオ撮影も終わったので、最後にデジカメでも撮影をしようとレンズを向けたのですが、数枚シャッターを切っただけで、ハエは何処かに行ってしまいました。ストロボの光を嫌がったからなのでしょうか・・・
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2004.1.11
今日は午前中から約6時間、沖縄本島最北端に近い宜名真(ぎなま)の旧国道58号線沿いで撮影をしました。国道58号線と言えば、沖縄最長の幹線道路なのですが、この部分だけはやっと車が擦れ違える程度の急な坂です。センターラインもなければ、幅員も一定ではなく、坂の頂上付近には岩がそびえ立っていて、かつてはよくそれが崩れて通行止めになっていました。今では、その下の海岸線沿いに、沖縄本島で最も長い宜名真トンネルが出来、ここはのどかな農道といった風情です。
 この道路脇には、さまざまな草木が茂り、チョウを初め多くの小動物が観察出来、ときどき訪れては撮影をします。
 ほとんど一日、道路脇の草むらにしゃがみ込んで撮影していたのですが、足腰が痛くなると、ときどき気分転換に海側を眺めることもありました。そのときに印象的だったのが、このセンダンのオレンジ色に色付いた実です。海を背景にして、より鮮やかに見えたのかもしれません。しかし、一昨日のイイギリの実もそうですが、例年に比べてこのように色付くのがやや遅いにも感じます。これも暖冬の影響なのでしょうか?
  色付いたセンダンの実
色付いたセンダンの実
NikonD1X VR Nikkor80-400/4.5-5.6ED PL-Filter
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ハマキガの一種?
ハマキガの一種?
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight
  2004.1.10
昨日に続いての山原(やんばる=沖縄本島北部)通いです。もう、夜暗くなってから到着したので、まずは山の中の灯火巡りです。1月とは言え、夜の山の中でもコーデュロイのシャツ1枚で過ごせる程の暖かさなので、きっと灯火には昆虫が飛来しているだろうと思って探したところ、すぐに10種程のガに出会うことが出来ました。
 その中で、興味深かったのが、このドリンクの自販機のサンプル照明にとまっていた、ガの一種、恐らくハマキガの仲間と思われるもの。透過照明で、しかも無地のバックにとまっているので、まるで標本撮影のように撮れてしまいました。まぁ、ガなのに展翅されてないのが変ですが・・・
 肩の辺りのエラの張り具合とその模様が、何とも不思議な感じです。知人にこの写真を見せたところ、両手の先を交互に袖に入れた中国服を着た人みたいとの感想でした。そう言えば、なんとなくそんな気も・・・
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2004.1.9
カンヒザクラの花を撮影した後、やや離れた場所でこのイイギリの木を見つけました。山際に沈もうとする夕陽の斜光でも受けていれば、もっと背景の緑から浮き上がったかもしれませんが、ちょっと見つけるのが遅かったようです。しかしそれを差し引いても、肉眼で見る限りは、とても美しい光景でした。
 亜熱帯沖縄の冬を映像で表現するのは、なかなか容易ではありません。決して常春の気象ではなく、冬はそれなりに寒いのですが、ひと目見て、冬の季節を感じさせる光景というのは、そうそうありません。その中で、この真っ赤な房状の実をたくさん着けたイイギリの大木は、とても冬らしさを演出してくれる存在です。
 ただひとつ残念なのは、この植物が亜熱帯特有のものではなく、本州などでも見られるものだということです。もう少し寒くなったら、再びこの場所を訪れ、夕陽に浮かび上がった姿を撮影したいと思います。
  実をたわわに着けたイイギリ
実をたわわに着けたイイギリ
NikonD1X Nikkor70-300/4-5.6ED PL-Filter
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咲き始めたカンヒザクラ
咲き始めたカンヒザクラ
NikonD1X Nikkor70-300/4-5.6ED PL-Filter
  2004.1.9
沖縄本島北部の本部半島に、午後少しだけ足を伸してみました。今帰仁村の乙羽岳の山頂広場に植えられたカンヒザクラが、数本の株で開花し始めていました。遠方は霞みがかかり、決して快晴という天気ではなかったのですが、そのちょっとパステル調の青空と桜の花の色が、巧く調和しているように感じました。
 このカンヒザクラについては、昨年も一昨年もいろいろな側面を紹介し、書き尽くした感もあります。今までは、自生種でもない桜を日本一早い桜として、沖縄の冬の象徴のように取り上げるのには抵抗を強く感じていました。しかし、今日のこの写真の青空とのコントラストを見ていて、ちょっと違う印象も持ちました。自生種ではないにしても、少なくとも他の種類の桜よりも、沖縄に最も似合っている種類の桜ではないかと。これはもしかしたら、ほんの一時的な感覚かもしれません。間もなく満開のときを迎えるでしょうから、またそのときに改めて考えてみたいと思います。
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2004.1.8
一昨日、虫探しをしたガジュマルの生垣を再び訪れました。長さ5、60m程の生垣なのですが、一往復すると、結構な種類の昆虫が見られます。一昨日のハラビロカマキリの幼虫も、ほぼ同じ場所にいましたし、やはりそのとき見つけたスキバドクガの蛹から羽化したばかりの雌成虫もいました。
 前回とほぼ同じ顔ぶれだったのですが、今回初めて気付いたのが、このアシナガキアリです。アブラムシのコロニーに甘露を求めてやって来たようです。ワーカーの体長は約3mmと決して大きくはないのですが、脚が長く、特に後脚が体長の約1.5倍もあるので、見た目は体長以上に大きく感じます。また、脚が長いだけでなく、歩く速度も早く、普段はなかなかその姿をじっくりと観察することも出来ません。しかし、甘いものがかなりの好みのようで、各種の花やアブラムシ、カイガラムシ、キジラミなどの甘露にやって来ては、熱心に餌集めをします。このようなときは、体の特徴を観察することも可能です。今日のワーカーはどれを観ても、その腹部ははち切れんばかりに膨らんでました。
 最近は、デジタルカメラでの撮影が多く、ついつい安易にシャッターを押し、その場で撮影結果を確認し、不要なカットは消去してしまうということが多く反省しきりです。しかし、今日の被写体はかなり小さく撮影倍率も高いので、久しぶりにガッチリと三脚を立てて撮影をしました。
  甘露を集めるアシナガキアリ
甘露を集めるアシナガキアリ
NikonD1X Sigma105/2.8Macro X1.4Telecon Speedlight
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トウワタの花
トウワタの花
NikonD1X Sigma18-50/3.5-5.6
  2004.1.7
道路脇の植え込みでトウワタの花を見つけました。和名のとおり、実が綿花のようにはじけるのが特徴です。ランタナの花と同じような、オレンジと黄色の細かく組み合わさった構造の花は、個人的にとても好きです。
 そしてまた、カバマダラというチョウの食草としても知られています。カバマダラが属するマダラチョウの仲間のほとんどは、幼虫時代に有毒な植物を食べて育ち、成虫になっても体内に毒を貯えています。そのことで天敵に捕食されるのを回避している標識擬態(ベーツ型擬態)者なのです。
 というわけで、このトウワタには毒(アルカロイド)が含まれています。しかし、これを食べるカバマダラの幼虫にとっては、当然この毒は有効ではありません。あるいは、これらの毒性は脊椎動物など高等動物にとってのみ有効だとも言われます。一方で、同じ昆虫のカマキリは、マダラチョウの成虫を捕獲しても、一口齧った後、慌てて放す行動を見せることもあり、このような場面を目撃すると、やはり昆虫にとっても有毒なのかと感じます。
 また、このような事例もあります。やはり有毒植物として有名なキョウチクトウの葉を餌にするキョウチクトウスズメ(ガ)の幼虫は、よく小鳥に捕食されますし、成虫は警告的な目立つ色彩ではなく、まるで迷彩模様のような隠蔽的色彩をしています。このように毒物質の有効性というのは、とても複雑で興味深いものだと思います。
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2004.1.6
今年初めての沖縄からの南島漂流記です。明後日のテレビ用のビデオ編集を始めたところ、必ずあると信じていたある昆虫の映像がないのに気付き慌てました。図鑑によると12月まで成虫の見られる種類なので、暖冬ならばまだ間に合うかもしれないと、早速事務所近くの琉球大学構内へ探しに行きました。ガジュマルの生垣を小一時間探しましたが、生憎目的の昆虫は探し出すことは出来ませんでした。その代わりに5、6種類の昆虫に出会いました。そのひとつが、このハラビロカマキリの幼虫です。
 このハラビロカマキリ、特に冬場の幼虫の姿には特別な思い出があります。今からちょうど18年前、大学院での論文テーマにこのハラビロカマキリを選んだのです。最終的な課題は共食いを伴う交尾行動だったですが、それに先立ち沖縄での基本的な生活史の調査をしました。
 その結果、冬場は餌にあり付けることは極めて希なようで、ほとんど成長しません。それどころか、この季節に死んでしまう幼虫の数はかなりのものでした。それを象徴するかのような薄っぺらい腹部が印象的でした。それに比べれば、まだまだ厚みの感じられる腹部を持つ幼虫です。これも、18年前よりも明らかに気温の高い冬のために、餌を確保出来ている結果なのでしょうか?
  ハラビロカマキリ幼虫
ハラビロカマキリ幼虫
NikonD1X DX AF Fisheye Nikkor10.5/2.8 Speedlight
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ミカンにやって来たヒヨドリ
ミカンにやって来たヒヨドリ
NikonD1X Nikkor-Q Auto135/2.8
  2004.1.4
昨日に続いて東京の実家の庭にやって来た野鳥です。今日は、その中で最も数も多く、力も強いヒヨドリです。メジロなどが餌を食べていても、一蹴して餌場を横取りしてしまいます。太刀打ち出来ない相手としたら、余程気紛れにやってくるカラスくらいでしょうか?かつては、モズがさらに威勢よかったのですが、最近実家の庭では見掛けません。
 このようにして、我天下を謳歌しているように映ったヒヨドリですが、一瞬にしてその図式が崩壊しました。すぐ下の草むらにジッっと身を潜めていたネコが、突如飛び掛かったのです。辛うじて、ヒヨドリはその攻撃から身をかわして逃げることが出来ましたが、しばらく戻ってきませんでした。それでも、そのネコは辛抱強くまた鳥たちが戻って来るのを待っていました。
 東京の実家のそれこそ猫の額程に庭ですが、その中に小さな生態系が展開していることが興味深く思われました。
 今年もちょっとイレギュラーな形でスタートしましたが、明日からは再び亜熱帯の島からお送りする、いつもの「南島漂流記」に戻ります。
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2004.1.3
季節柄、東京の実家は全国からの果物の到来物で賑わっています。食べる速度に追い付かず、どうしても傷んでしまうものもあります。そのような果物を庭先の枝に差しておくと、野鳥がやってきます。そのほとんどがヒヨドリですが、ときにはメジロやその他の野鳥も混ざって訪れます。
 その光景をカメラに収めようと思ったのですが、生憎望遠系のレンズは持ってきていません。そこで、父所有の新型の300mmまでのズームレンズを借りたのでですが、カメラボディ側に何の情報も表示されず、シャッターを切っても何も撮影されません。他のカメラボディにも装着してみても同じ状況で、どうも故障のようです。きっと内蔵されているロム基盤のトラブルなのでしょう。光学的には何も問題はなく、ファインダーで画像は確認出来るのに、デジタルカメラでは何も記録されない不可思議・・・
 仕方なく、次に焦点距離の長い135mmの望遠レンズを探し出してきました。もう40年以上前に製造された、かなり古い製品です。しかし、最新のデジタルボディにも問題なく装着出来、シャッターを押してみると、今度はちゃんと画像が記録されています。マウント部分に電気接点も何もない純機械式のオールドレンズですが、簡単に故障してしまう最新のレンズをよりも、明らかに有益な仕事をしてくれました。
  ミカンを食べに来たメジロ
ミカンを食べに来たメジロ
NikonD1X Nikkor-Q Auto135/2.8
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蕾の色付くミモザの枝
蕾の色付くミモザの枝
NikonD1X Sigma105/2.8Macro EX
  2004.1.2
昨日に続いて、東京の実家の庭木の映像です。庭の片隅に高く生長したミモザの木があります。3月にもなると鮮やかな黄色の小さな花を、枝全体に着ける春の花です。しかし、この最も気温の下がる季節に、枝々には既に黄色く色付いた蕾をたくさん準備しているのです。特に、朝陽を背後から受けると、その黄色い蕾の部分だけが、浮き上がるように輝きます。麗らかな春の陽気の下、ミモザの花が満開になる光景が今から想像出来るようです。
 ところで、今日もそうですがニコンのカメラボディにシグマ製のレンズの組み合わせで使っています。昨日初めて使用したレンズで、シグマ製レンズはちょうど12本購入したことになります。純正のニコン製のレンズにはまだ負けますが、それに迫る本数です。私が写真を撮り始めた小中学校の頃は、レンズ専門メーカー製のレンズは、スペックと価格こそ魅力がありましたが、その性能はというとカメラメーカー純正レンズと比べると雲泥の差がありました。それが、現代では遜色ないどころか、スペック、性能、価格の3拍子揃った製品が目白押しなのですから、隔世の感があります。
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2004.1.1
昨年に続いて、東京でスタートを切った2004年の「南島漂流記」です。昨年の東京は、2日、3日と雪が降りましたが、今年は燦々と陽が降り注ぎ、とても暖かい陽気に恵まれています。
 実家の庭では、今ちょうどロウバイの花が見頃です。漢字で書くと「蝋梅」。本当に蝋細工のような透明感と色彩をしています。但し、ロウバイの花すべてがこのように美しい色彩とは限らず、灰色のくすんだ株も少なくありません。東京近辺では、12月下旬から1月に掛けて開花します。例年ですと、寒々しい庭にポツンと咲いていたり、あるいは薄らと雪が積もっていたりするのですが、今年は暖かな陽光を背後から受けて、本当に蝋細工のような輝きです。香りもよく、この文章を書いている2階の部屋にも漂ってくる程です。
 撮影に使用したレンズは今回新しく購入したもの。デジタル専用レンズですが、これまで常用してきたNikkor18-35/3.5-4.5よりもコンパクトで望遠域が広く、最短撮影距離も25cmと今後活躍しそうなスペックです。
 今年から「南島漂流記」の写真のサイズを少し大きくしてみました。このためには、粗が目立たないような写真を心がけなければと、思っています。
※その後、図鑑には花芯まで黄色い品種は、ソシンロウバイという名称で載っていました。
  ロウバイの花
ロウバイの花
NikonD1X Sigma18-50/3.5-5.6 Speedlight
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