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生まれてから19年間過ごした東京ですが、どうも都会の生活は苦手で落ち着かないものでした。そして、その東京よりも長くなった沖縄での生活が続いています。
しかし、長いからといって、その土地の人になることは出来ません。こうしてみると、本当に自分自身の落ち着ける居場所は何処にもないような、そんな気もしてきます。
でも、これからも沖縄に住み、あちらの島やこちらの島を転々としながら、野生動物たちの撮影を続けていくことに変わりはないでしょう。
その仕事にしても決して要領のよいものでなく、いつもどこかワンテンポずれたことばかりのように感じます。
ゆったりと流れていく時の中に浮かぶ、南の島での毎日を少しずつ紹介できればと思います。
しかし元来が怠け者で、夏休みの絵日記もまともに付けたことのない性格、どれくらいのペースで更新できるかは、当の本人にも全くわかりません。
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南島漂流記、本日(11/9)から25年目に入ります。
これからも、よろしくお願い致します。
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※各種お問い合わせは、こちらまでお願いします。 |
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2002.7.26
6月6日に小学館より刊行された『週刊・日本の天然記念物』。全50巻のうち4巻ほどの写真をメインで担当させて頂いていますが、その最初の号「09ヤンバルテナガコガネ」が間もなく8月1日に発売になります。 琉球朝日放送で隔週担当している「リュウキュウの自然」のコーナーで昨夕紹介するために、発売前に手にすることが出来ました。既刊号の表紙の写真は、すべて生態写真だったのが、ヤンバルテナガコガネの標本写真を使用するなど、ちょっと新鮮なレイアウトです。本の中でも説明はないのですが、実はこの標本写真は、1983年9月15日に山原(やんばる=沖縄本島北部)で最初に発見された個体なのです。右前脚の刺(とげ)の先端が折れてしまっているのが特徴です。 その表紙のたっぷり採られた余白の上に、既刊号の動物フィギュア9種類を並べてみました。これが50巻分すべてが揃ったときは、どんなにか見応えのあることになるでしょう。今からとても楽しみです。
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『週刊日本の天然記念物09号』とフィギュア
Canon PowerShot G2
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石垣島轟川河口
NikonD1X Nikkor18-35/3.5-4.5ED PLFilter
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2002.7.20
小学館の『週刊・日本の天然記念物』のオカヤドカリの号の撮影のために石垣島に来ています。今年の沖縄は、梅雨明けしてからもいまひとつ、カラッとした夏空が見られなかったのですが、ここにきてやっと夏そのものといった空が広がっています。 しかし、今回の被写体のオカヤドカリはほとんど夜行性の動物。昼間は撮影地のロケハンのみで、実際の撮影は日没前後から深夜にかけてとなります。そのために、この夏らしさを存分に味わうこともままなりません。 子供の頃は、夜の海はとても怖いものでした。真っ黒な海の波音を聞いているだけでお腹が痛くなってしまいそうな… それが、夜な夜なひとりで、長い海岸線を何往復もするのですから、不思議なもんです。それでも、ときどき驚くこともあります。暗闇の砂浜に何をするでもなく座っている人がいたり、反対に波打ち際の人影だと思っていた黒い物体が近付くとただの岩だったり… そして、突然のガサガサと大きな音の方向にライトを向けると、オカヤドカリの親玉のヤシガニが岩と登ろうとしているところでした。
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2002.7.18
写真展直前の準備作業中に、左手中指を怪我してからちょうど3週間が経ちます。カッターナイフでプリントをカット中に、指先をほんの少し切り落としてしまったのですが、外科で縫われるのは初めての経験でした。 抜糸からも1週間が過ぎ、徐々にいろいろな作業に慣れようとしています。抜糸前は濡らすことも出来ずに、いちばん困ったのは、タオルなどを絞る動作でした。左手中指の先端は、ピントリングを回すときに、最も使うところなので心配していましたが、ほぼ問題なさそうでほっとしています。 切り落とした部分が余りにわずかだったので、病院にも持っていかなかったのですが、どんなに小さくても、いっしょに縫合したほうが直りが早いそうです。仕方なく傷口を「寄せて縫った」そうですが、抜糸後に爪先を見て驚きました。「寄せる」ために爪が利用されていたのです。爪の先端に小さな穴の痕が4つ見えます。これをアンカーにして、糸で寄せて縫ったようです。縫合の時間はそれほど長くありませんでしたから、縫合用の針は簡単に爪を通してしまうものなのですね… 初めての経験だったので、何針縫ったのか興味があったのですが、総合病院では毎回担当医が違います。しかも、「何針縫ったかはあまり重要でない」とかで、カルテには記述がないのだそうです。たまたま、抜糸と縫合のときが同じドクターだったので、やっと5針であることを知ることが出来ました。
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左手中指
Canon PowerShot G2
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台風の目に入り揺れの止まったヤシ
NikonD1X Nikkor18-35/3.5-4.5ED
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2002.7.14
午後7時30分頃、事務所のある沖縄本島中部一帯が台風の目に入ったようです。急に風雨が弱まり、静けさが戻りました。青空や星空が見えるほどのはっきりとした目ではありませんが、まるで台風が通り過ぎたような状態です。横殴りの激しい雨の代わりに霧に覆われて、ちょっと幻想的な雰囲気がします。 24年余りの沖縄の生活で、体験した台風は数知れませんが、目の中に入ったのはこれで4回目だと記憶しています。過去はすべて昼間のことで、地平線近くに薄らと空の青い部分が見えたときもありました。なんとも不思議な感覚です。 これから間もなく吹き替えしの風が強まるはずですが、つかぬ間の休息といった気分です。天気予報がTV だけでなく、インターネットでも見られる現代は、リアルタイムで台風の状況が把握できます。しかし、天気予報のなかった時代、台風の目と台風の通過を勘違いして警戒を解いてしまい、その後の吹き返しの風で大きな被害の出たという話も理解出来ないものではありません。こう書いているうちに、風雨が再び盛りかえしてきたようです。
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2002.7.14
午後から台風7号の暴風雨圏内に入ったようで、事務所のある沖縄本島中部でも、風雨が強まってきました。前回接近した5号のときは上京中だったので、今年初めての本格的な台風となりました。 事務所の裏に茂っているススキ原も、ときおり吹き付ける強風に、大海原のようにうねっているのが見えます。いつも言われることですが、沖縄の水供給は、結局は台風頼みになってしまいます。今回の7号は水源地の北部にも充分な雨を降らせてくれるのでしょうか?冬から続いている水不足が解消してくれるとよいのですが… 沖縄にやってくる台風は、最も発達した状態で、スピードも遅いのですが、それによって被る被害は余り大きなものではありません。ところが同じ台風が、勢力を弱めながらスピードを上げ、一気に駆け抜けてしまうときに本土では大きな被害が出るのが、少し不思議な気がします。自然界と同じように、人間社会も常に受けているプレッシャーに対して、適応・進化してきた結果なのでしょう。雪国では当たり前の降雪量が、都心に降ると大混乱を招くのも、同じような現象と言えるでしょう。
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暴風雨でうねるススキ原
NikonD1X VR Nikkor80-400/4.5-5.6ED
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ホルトノキで吸汁するクマゼミ
NikonD1X Sigma16/2.8Fisheye
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2002.7.14
写真展で上京する直前の6月末には、クロイワニイニイやリュウキュウアブラゼミの鳴き声がよく聞かれていました。しかし、10数日ぶりに沖縄に戻ってみると、セミの音はほとんどが、このクマゼミへと取って変わっていました。 午前中は盛んに大きな声で鳴いていますが、昼頃からセンダンやホルトノキに集まり、静かに集団で吸汁をする姿が見られます。毎年のことですが、多い木には、100頭以上のクマゼミが集まる光景も見られます。 体の大きさでも、鳴き声の大きさでも、集団の大きさでも他の種類のセミを圧倒していて、クマゼミの出現のピークを迎えると、他のセミの存在が霞んでしまう感さえあります。今日の午前中も、台風7号の強風域の中、他のセミの声は全く聞かれないのに、クマゼミだけは、とまっている幹がどんなに激しく揺さぶられようと、鳴くのをやめませんでした。
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2002.7.11
9日間の会期も過ぎ、写真展「琉球列島―亜熱帯の森」が無事終了しました。直前に負った指の怪我も、連夜の呑み会の影響も出ずに、本日抜糸することが出来ました。会期中のべ13,694人もの皆さんに作品を観て頂くことが出来ました。また、予想以上にたくさん作品を購入して頂き、現在その準備作業に追われています。ちなみに一番人気の作品は、紅色の変形菌「森の中で見つけたキノコの仲間」でした。 写真展の度に思うことですが、知り合いの方は必ずと言っていいくらいに、重なっていらっしゃいます。ひとりひとりの方とゆっくりお相手が出来ずに、いつも心苦しいばかりです。また、昼食で数十分席を外した間に、これもまた必ず、直接ご挨拶したかった方がお見えになっているのです。不思議な、そして困ったことです また、写真展の間にはいろいろなプレゼントを頂戴します。どれもこれも嬉しい品ばかりですが、今回写真展の雰囲気にもピッタリだったのが、このカエルのネクタイピン。毎日、日替わりで動物柄のネクタイを絞めていたので、なかなかの組み合わせでした。同じ仲間のカエル柄よりも、餌になるチョウ柄との組み合わせのほうが、当のカエル君も嬉しそうでした。
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餌に囲まれたタイピンのカエル
Canon PowerShot G2
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オオタニワタリ葉上のアオガエルのフィギア
NikonD1X Nikkor18-35/3.5-4.5ED Speedlight
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2002.7.8
写真展の会期も残すところあと2日。毎日たくさんの質問を受けますが、必ずあるのが「実際よりも派手すぎませんか?」というもの。ところが一昨日は、案内はがきにも使用している新緑の山並の作品を、その撮影地に程近い所の出身の方が「本当にこのとおりですね」とお友達の分まで2枚も購入してくださいました。とても嬉しい出来事でした。 また昨日は、床面のディスプレイの上に寝転がって、その雰囲気を存分に楽しんでいってくれた子供達がいました。実は、あのスペースは大人の方にも出来ればそうしてもらいたいぐらいの遊びの要素ですので、これもまた嬉しいことでした。 そして今日は、今回の作品の内容から、是非観て頂きたいと密かに思っていた方が、会場を訪れてくださいました。特にご案内も出していなかったのに、これほど嬉しいことはありません。
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2002.7.5
写真展も4日目。新宿駅から近いロケーションということもあり、平日でもたくさんの方にご覧頂いています。前回も触れましたが、壁面の展示作品以外にも、亜熱帯の森をイメージしたディスプレイを、会場中央のフロアに配置しています。 さまざまな植物に覆われた森の地表や渓流の写真を、幅90cm長さ6mにプリントして床に敷き、林床空間をイメージしています。そこに、ヒカゲヘゴ、オオタニワタリ、クワズイモといった琉球列島の森で見られる植物の鉢植え(苔やシダの写真の鉢カバーを付けて)を配置しています。さらに、リュウキュウヤマガメ、セマルハコガメ、アマミノクロウサギ、ヤンバルテナガコガネなどのフィギア(動物模型)を置き、展示作品とはまた別の亜熱帯の雰囲気を演出しています。 当初は、展示作品や会場とのバランスから、どのような印象を受けるか心配もあったのですが、多くの方々に喜んで頂いています。中には、展示作品よりもこちらのほうに高い評価をくださる方もおられ、少々複雑な気持ちでもあります。 (右の写真のリュウキュウヤマガメの大型フィギアは、フィギアの原型を製作されている松村しのぶさんが、写真展初日にプレゼントしてくださったものです)
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写真展会場床面ディスプレイ
NikonD1X Nikkor18-35/3.5-4.5ED
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コニカプラザ写真展会場
NikonD1X Nikkor18-35/3.5-4.5ED
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2002.7.2
新宿コニカプラザで、写真展「琉球列島―亜熱帯の森」が始まりました。沖縄を発つ直前の準備作業中に指に怪我をして細かい作業に支障をきたし、設営も不安でしたが、専門スタッフのサポートで無事に開幕に辿り着くことが出来ました。 終了後、関係者でのオープニングパーティにも、予想を上回る方々にお集まり頂き、楽しいひとときとなりました。 大型プリントのため、フレームを使用しない独自の展示方法を採った他、会場中央に森の林床の写真、実際の森の植物、動物模型を配置したディスプレイなどの試みにも、肯定的なご意見をたくさん頂きほっとしています。 そして、肝心の作品に関しても、「デジタル手法で故意に派手にしているのでは?」というご質問も多いのですが、「シャッターを切った瞬間に私の脳裏に残っているイメージになるべく忠実に近付けた結果」とご説明すると、ほとんどの方に納得して頂けます。やや長めの会期ですが、その間により多くの方のご意見を伺うことが楽しみです。
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